著者
中村 好男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.164-168, 1967-12-25
被引用文献数
2 3

陸生ミミズとその生息環境である土壌との関係を明らかにするため,札幌付近の火山灰土,沖積土および泥炭土の各草地で,1966年5月から11月までの7か月間,毎月2回(11月だけ前半のみ1回),陸生ミミズの種類,5%ホルマリン固定標本の湿重量(現存量)および個体数を調査した。<br>調査はそれぞれの草地を周囲2mを除き6列9行計54の長方形区(1辺が5∼9m)に分け,各列から1区ずつ合計6区を毎回無作為に抽出して,各区から表面積25cm×25cm深さ30cmの直方体に土壌をとり,Hand-sortingによってミミズを取り出し,次の結果を得た。<br>1) 採集された陸生ミミズは,ツリミミズ科の2属3種とフトミミズ科の1属4種であった。<br>2) 三つの土壌型に共通な種類は一つもなかった。<br>3) 二つの土壌型に共通なものとして,火山灰土と沖積土には,サクラミミズ<i>Allolbophora japonica</i>が,火山灰土と泥炭土にはムラサキツリミミズ<i>Dendrobaena octaedra</i>が見られ,いずれの種類も両種の土壌において,成体,未成体ともにやや似た個体数の増減傾向を示していた。<br>4) サクラミミズは両種の土壌において,個体数は50%以上を占めていた。<br>5) 種類数は火山灰土で5種,沖積土で6種,泥炭土では1種であった。<br>6) 個体数の多い順は泥炭土,沖積土,火山灰土であり,現存量の多い順は沖積土,泥炭土,火山灰土であった。<br>7) 火山灰土と沖積土では個体数,現存量とも秋に多かった。泥炭土では個体数,現存量ともに5月,8月および10月に多かった。<br>8) 一般に泥炭土では種類数が少なく他の土壌では多いと言われていたが,今回の調査でもその事実が認められた。

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