著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-30, 1973
被引用文献数
2 1

山形県の中央部に位置する白鷹山(海抜:992m)の東側山麓,標高500&sim;520mにおいて,互に隣合った落葉広葉樹林地,アカマツ造林地,スギ造林地および農耕地において,野ネズミが種類によりどのように移動しているのかについて1969年6月から1971年5月まで調査した。<br>1. ハタネズミは非常に定住性の強い種類で移動性個体は総個体の11.1%であった。また移動範囲は狭く移動する時期は4月から8月までであったが,その行動は2月から11月まで行なわれた。<br>2. ヤチネズミの移動性個体は本種の総個体の22.2%であった。またその移動範囲は狭く移動する時期は2月から11月までであった。<br>3. アカネズミは非常に移動性の強い種類で移動性個体は本種の総個体の36.7%であった。また移動する範囲は広かった。本種は食料の豊富な土地につぎつぎと移動し,その移動する時期は4月から11月までの無積雪期であった。<br>4. ヒメネズミの移動性個体は本種の総個体の20.5%であり,その移動する範囲は広かった。本種の移動は年間を通じて行なわれたが雄のみであった。<br>5. 野ネズミの種類ごとに捕獲された最長の期間は,ヒメネズミは11か月間,アカネズミは10か月間,ハタネズミは8か月間,ヤチネズミは4か月間であった。

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