著者
大津 正英
出版者
山形県立林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:03889289)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-7, 1988-03 (Released:2011-03-05)
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.25-30, 1973
被引用文献数
2 1

山形県の中央部に位置する白鷹山(海抜:992m)の東側山麓,標高500&sim;520mにおいて,互に隣合った落葉広葉樹林地,アカマツ造林地,スギ造林地および農耕地において,野ネズミが種類によりどのように移動しているのかについて1969年6月から1971年5月まで調査した。<br>1. ハタネズミは非常に定住性の強い種類で移動性個体は総個体の11.1%であった。また移動範囲は狭く移動する時期は4月から8月までであったが,その行動は2月から11月まで行なわれた。<br>2. ヤチネズミの移動性個体は本種の総個体の22.2%であった。またその移動範囲は狭く移動する時期は2月から11月までであった。<br>3. アカネズミは非常に移動性の強い種類で移動性個体は本種の総個体の36.7%であった。また移動する範囲は広かった。本種は食料の豊富な土地につぎつぎと移動し,その移動する時期は4月から11月までの無積雪期であった。<br>4. ヒメネズミの移動性個体は本種の総個体の20.5%であり,その移動する範囲は広かった。本種の移動は年間を通じて行なわれたが雄のみであった。<br>5. 野ネズミの種類ごとに捕獲された最長の期間は,ヒメネズミは11か月間,アカネズミは10か月間,ハタネズミは8か月間,ヤチネズミは4か月間であった。
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.37-42, 1967-06-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

1963年9月から1966年4月まで,トウホクノウサギの毛色変化を起こす要因と,更にその要因の詳細を研究し,次の結果を得た。1) 白変期に入った動物に,蛍光燈を1日に12時間以上照射すると,白変がほとんど停止し,褐変期に入ろうとする動物を暗室に入れ,これに1日10時間蛍光燈を照射すると,褐変はほとんど進まない。2) 毛色変化の遅速は,蛍光燈の照射時間の長短とほぼ一致し,長いほど褐変を促進し,白変を抑制する。したがって毛色変化を起こす最も重要な要因は,日照時間とみられる。3) 毛色変化は,環境温度・周囲の白色または褐色にほとんど影響されない。
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.75-78, 1972-06-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2 6

越後山系の飯豊山の北側と,朝日岳の東側,すなわち山形県側の山麓地帯で,1968年12月から,1971年2月までの3猟期(12月1日から翌年2月15日まで)内に捕獲したテン51個体の,胃の内容物を調査した。その結果,胃の内容物は,鳥類が3種類,哺乳類が3種類,および植物の漿果が2種類であった。胃の内容物で,多くみられたのは,ヤマドリとトウホクノウサギであり,それぞれ,全体の25%と35%の個体にみられ,その重量は,それぞれ,47%と30%であった。植物では,カキの実が,より多く,全体の11%の個体にみられ,その重量は,全体の8%であった。なお,テンの生息密度は,農林省の狩猟統計書の捕獲数から,漸時減少の傾向がみられる。
著者
大津 正英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.31-35, 1971-03-25
被引用文献数
1 1

トウホクノウサギは,一般野生哺乳類のごとく,比較的明瞭な繁殖周期を持っており,卵巣重量は,11月から1月にかけて最小となり,2月下旬から3月には大きくなり始める。繁殖期は春から夏にわたるが,この頃の卵巣は大きく,肉眼的にも組織的にも活動的である。そして9月から10月には急速に退行する。<br>本種の繁殖期に対する長日照効果を明らかにするため,1968年12月11日から成獣,雌25頭雄10頭に対して長日照処理を行なった。これらの動物には,日の出から午前9時までは自然光線により,その後日の入までは自然光と螢光燈により,また日の入から午後9時までは螢光燈によって照射を行なった。<br>長日照処理動物の卵巣重量は,処理開始後50日経過した1月30日には急速に増大していた。自然状態における動物の卵巣が,これと同じように発育するのは,2月下旬から3月にかけてである。長日照処理は3月6日に終了したが,4月12日において,処理動物の卵巣重量に退化はみられなかった。<br>対照動物では2月26日に最初の妊娠個体が認められ,また最初の出産は4月5日で産児数は3頭であった。処理動物の最初の妊娠個体は1月30日に認められ,最初の出産は2月22日で産児数は1頭であった。処理動物の繁殖は2月22日から4月10日まで続き,その後4月11日から6月29日まで中断したが,6月30日に再開し,8月22日まで繁殖を続けた。<br>長日照処理動物と対照動物の卵巣組織には,周年成熟しているか,それに近い濾胞が存在しているのがみられた。