- 著者
-
河野 哲
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, no.3, pp.128-133, 1989-08-25
- 被引用文献数
-
1
33
ポット植えしたダイズに3種のカメムシを放飼し,放飼時のカメムシの齢期と被害,放飼時のダイズの生育期と被害,カメムシの種類と被害などの関係,さらに品質・収量への影響について検討した。<br>1) ホソヘリカメムシによる被害粒率は,1・2齢ではごくわずかであったが,3齢になると急増し,雌成虫が最大となった。被害程度の重い子実の占める割合の高いのは,4齢,雌成虫,雄成虫であり,3齢以下の幼虫ではその割合は低かった。<br>2) ホソヘリカメムシならびにイチモンジカメムシによるダイズ子実の吸汁被害は,莢伸長中期∼子実肥大初期が最も大きく,それ以降は子実の肥大ならびに硬化にともなって減少した。<br>3) ホソヘリカメムシの雌成虫による被害粒率はブチヒゲカメムシより高かったが,雌雄の平均で比較すると両種の被害粒率はほぼ同じであった。被害程度の大きい子実はホソヘリカメムシのほうがブチヒゲカメムシより多く,イチモンジカメムシによる被害は,子実肥大初期以外ではホソヘリカメムシとほぼ同じであった。<br>4) 1日1頭当り加害粒数は,ホソヘリカメムシの発育態では,雌成虫(2.07個)が,ダイズの生育期では莢伸長中期(雌雄込みにして1.7個)が最大であった。ブチヒゲカメムシは子実肥大初期には1日1頭当り雌雄とも約1個の加害能力があった。<br>5) ホソヘリカメムシによる莢伸長中期の加害が収量に最も強く影響し,28.1%の減収となったが,品質においては,その時期よりもやや莢の発達した子実肥大初期の影響が大きい傾向がみられた。