著者
篠崎 俊子 増井 絢子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
no.18, pp.p13-29, 1987-01

福岡女子大学, 福岡女学院短期大学18歳学生総数1,785名を対象に, アンケート式「月経に関する調査」を行なった。昭和56年度から昭和60年度の5年間の初潮発来前後における実態を分析し, その結果を, 全九州大学女子体育研究会調査昭和30年, 45年, 55年度の傾向と比較し, その推移をみて若干の検討を加えた。1.初潮年令は, 昭和56年度から60年度の5年間(以下略して5年間とする)の平均12歳7ケ月(151.1カ月)である。5年間の最低9歳4カ月, 最高17歳11カ月である。最低初潮出現年齢は, 昭和55年度の8歳1カ月で, 30年間では, 1歳8カ月の加速的な若年化をみた。2.平均初潮率は, 5年間12歳で38.9%とピークを迎え, 次いで, 13歳, 11歳となっている。そして中学3年生(14歳)で大半の者が既潮している。30年間の比較では, 発来の加速的傾向が著しく, 約2年あまりの大幅な差がみられる。3.初潮時の身長は, 5年間約150cm前後, 体重は約41・2kg時が初潮発来のめやすである。文部省資料による身長・体重の増加曲線は, 昭和30年と60年の比較では, 約2年の発育発達速度で若年化している。本調査での初潮年齢においても約2年の早期化をみたことから, 初潮は発育と大変深い関係にあることがいえる。乳房のふくらみは, 9歳頃から13歳にかけて9割以上のものが自覚している。初潮発来の約1年前にはふくらみを感じている。4.来潮の月は, 1月, 8月, 4月の順で休暇を含む月に来潮が多く, 2月が最も少ない。45年, 55年にみられた8月に多い傾向が減少し, 1月が最も多くなった。5.初潮を迎えた場所は, 自宅約8割であった。6.初潮時の所感は, びっくりした, いやな感じ, 恥ずかしかった, 不安になった, わずらわしかったなどの不安自覚が約7割であった。ほっとした, 大人になったような気がした, うれしかった, と心の備えのあったものが約2割であった。7.初潮時の予備知識は, 本調査では, 知識あり9.5割を示した。15年間(昭和45年〜60年)を比較すると, わずかながらも3.3%増加となり, 事前教育は進んでいる。その時期は, ほとんどが小学校期に持っていることになる。昭和45年には6年生がピーク, 55年では5年生, 60年度ではほぼ4年生に移行している。初潮率, 既潮率および予備知識の時期をみると, 本調査では, 既潮率に対して予備知識は常に先行している。その時期は, 昭和45年から15年間に, 約2年間先行したことになる。8.本調査によると, 初潮前の指導は先生約6割以上, 母親約3割他友人, 校医, 姉となっている。15年間の比較をみると, 先生12.3%増, 母親5.2%減となる。初潮発来時に困ったことがあった者は, 約5割強, 困らなかった者は約5割弱であった。困った事の内容は, 精神的不安25.5%, 準備不足17%, 他人に知られること16.3%, 体育活動への参加14.7%, 手当の方法12.2%, 随伴症状6.7%, 知識がなかった6.3%などの順である。

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