著者
篠崎 俊子 増井 絢子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.71-97, 1989-01-25
被引用文献数
1

1.内装生理用品(タンポン)の18歳齢使用状況の, 昭和56年度から60年度の5年間は, 「使用している者」4.3%, 「時々使用している・ナプキンと併用している者」13.8%, 「使用したことがあるがやめた者」8.2%, 「1度も使用したことがない者」73.7%である。使用している者と併用している者も含めて5.5人に1人の割合である。特にタンポンのみを常用している者は, 25〜26人に1人の割合で, タンポン使用者は以外に少ない結果となっている。2.タンポンの使用者を, 真鍋他調査の中学・高校生と本調査を比較した場合, 中学より高校生, 高校より大学生になるに従って増加率が高く, 高校生は中学生の2倍, 大学生は中学生の3倍の高比率である。3.タンポン使用の動機としては, 便利だと思った者約6割, 人にすすめられたが約3割であり, 友人からの影響が大きいことが示された。4.タンポン使用者(A群), 時々使用している者(B群), 使用したことがあるがやめた者(C群)の群別比較をみると, 「人にすすめられた」は, A群約4割で, B群, C群より1割増である。「好奇心」では, A群よりB群, C群の方に2.5割程度多い。「便利だと思った」は, 3群とも約5〜6割である。5.タンポンを初めて使用した年齢を学齢期でみると, 小学6年0.2%, 中学期16.9%, 高校期71.5%, 大学1年11.3%である。初使用の時期は高校期の頃で, 中学期から高校期にかけて急勾配で増加している。群別では, 各群とも「高校期」で共通しているが, A群は低年齢時からタンポン使用を始めている。6.タンポンを抵抗なく使用できるまでの期間では, 使用しはじめて2カ月経過の者約6割弱, 6カ月〜1年約8割弱である。群別の顕著な特徴として, A群は初回から約半数の者が慣れ, 6カ月以上から1年で抵抗なく使用している。C群は, 約半数の者が抵抗なく使用するのに, 6カ月から1年以上を要し, その結果タンポン使用をやめている。7.タンポン初使用の際, 使用方法を知っていた者97.8%, 知らなかった者2.2%である。使用方法は, 商品の説明書, 次いで友人から知識を得ている。知識についての群差間はほとんどみられなかった。8.1日のタンポン使用回数は, 3〜5回取りかえている者が多い。顕著な例として, A群は使用回数が多い傾向を示し, 3〜6回約9割である。B群においてはA群よりも1回少ない傾向を示し, 回数不定とみられる者が表われている。9.タンポンを使用したことがあるがやめた者の理由としては, 「異物感・なじめぬ・合わぬ」「健康上悪い・不衛生」次に「痛い」である。つづいて「不快」「使用がむずかしい」「心理的抵抗感」などがあげられる。10.タンポンを1度も使用したことがない者の理由は, 4人に3人が「心理的抵抗感がある」と答え, 次に「弊害があると教えられた」である。11.タンポンを知った動機としては, 「テレビ・ラジオの宣伝」が全体の5割で, 2人に1人の割合である。次に「書籍・雑誌」および「友人」からの情報となっている。タンポンを知った動機の全体的な傾向として, 書籍, 雑誌, 友人からの影響が減少している。情報源として特に, テレビ・ラジオの宣伝および先生, 母親, スライドや映画などの教育面の方に移行していることが顕著である。12.タンポン使用経験者の感想〈良いイメージ〉は, 「活動しやすい」約5割以上で2人に1人, 「スポーツ・入浴・水泳も心配なくできる」と「使用感がない」は約4割で, 次に「もれやずれを心配しなくてもよい」「取りかえ回数が少なくてよい」「下着の汚れが少ない」が約3割前後で, 3人に1人である。次いで「月経のわずらわしさから解放される」「携帯に便利である」などである。13.〈悪いイメージ〉としては, 「量の多い時そとへもれるおそれがある」3割以上で, 3人に1人がそのように考えている。次に「挿入時に苦痛を感じる」約2.5割で4人に1人, 「取り出す時に苦痛を感じる」「取りかえ用のヒモが気になる」「手が汚れるので嫌だ」「挿入の姿勢がむずかしい」「異物感があり不快である」は約1.5割〜2割である。14.タンポン使用に対する今後の考え方として, 「使用したいと思う」「必要であれば使いたい」などの積極派は約3割, これに対して「使用したいと思わない」「未婚の間は使用しない」が7割以上と否定的である。15.タンポンの使用に対する現在と将来の考え方の動向をみると, 肯定的な考え方は現在17.8%, 将来28.4%で約1割増である。否定的な考え方は現在82.2%, 将来70.9%と約1割減である。今後の動向としては, 「タンポン使用」の方向へむかう兆しがある。
著者
舟木 淳子 矢野 みどり 菊池 佐和子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.29-32, 1994-01-25
被引用文献数
1

氷核活性細菌をアイスクリーム製造に利用できるかどうか検討するためにE.coli-inaAを用いて実験を行った。(1)アイスクリームミックスをドライアイスで冷凍すると-20℃の冷凍庫で冷凍した場合の約1/6の時間で凍結し, ドライアイスで冷凍した場合は急速凍結, -20℃の冷凍庫で冷凍した場合は緩慢凍結といえる。(2)官能検査とレオメーター測定により, 急速凍結したアイスクリームの方が緩慢凍結したアイスクリームより良い品質であることがわかった。(3)アイスクリームミックスは-5℃では通常凍結しないが, E.coli-inaAを添加すると-5℃で凍結した。また-10℃で凍結させるとE.coli-inaAを添加したものは無添加のものの約1/2の時間で凍結した。(4)これらのことから氷核活性細菌を利用することにより膨大なエネルギーを使用することなしに急速凍結が行え, よい品質のアイスクリームが製造できる可能性があることがわかった。
著者
早渕 仁美 井上 厚美 坂井 徳子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.17-24, 1990-01-25

料理の作り方をどのような手段で示すかについて, フローチャート化とイラスト化を行い検討した。1)既製の約束事に基づきフローチャート化を行ったところ, 複雑な流れになって, 作り方の把握が困難なものがみられた。そこで約束事を充実させ, 基本調理操作法などの別項を設けて簡略化を行った。しかし別項を参照する手間や, 図形や記号の意味や約束事を覚えなければならない煩雑さが残った。2)基本調理操作のイラスト化における約束事を定めた。その約束事に基づき調理操作のイラスト化を行ったところ, フローチャート化したものに比べ, 料理の概要や作り方を簡潔明瞭に示すことができ, どのような料理かを直感的に把握することができるのではないかと考えられた。
著者
篠崎 俊子 増井 絢子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
no.18, pp.p13-29, 1987-01

福岡女子大学, 福岡女学院短期大学18歳学生総数1,785名を対象に, アンケート式「月経に関する調査」を行なった。昭和56年度から昭和60年度の5年間の初潮発来前後における実態を分析し, その結果を, 全九州大学女子体育研究会調査昭和30年, 45年, 55年度の傾向と比較し, その推移をみて若干の検討を加えた。1.初潮年令は, 昭和56年度から60年度の5年間(以下略して5年間とする)の平均12歳7ケ月(151.1カ月)である。5年間の最低9歳4カ月, 最高17歳11カ月である。最低初潮出現年齢は, 昭和55年度の8歳1カ月で, 30年間では, 1歳8カ月の加速的な若年化をみた。2.平均初潮率は, 5年間12歳で38.9%とピークを迎え, 次いで, 13歳, 11歳となっている。そして中学3年生(14歳)で大半の者が既潮している。30年間の比較では, 発来の加速的傾向が著しく, 約2年あまりの大幅な差がみられる。3.初潮時の身長は, 5年間約150cm前後, 体重は約41・2kg時が初潮発来のめやすである。文部省資料による身長・体重の増加曲線は, 昭和30年と60年の比較では, 約2年の発育発達速度で若年化している。本調査での初潮年齢においても約2年の早期化をみたことから, 初潮は発育と大変深い関係にあることがいえる。乳房のふくらみは, 9歳頃から13歳にかけて9割以上のものが自覚している。初潮発来の約1年前にはふくらみを感じている。4.来潮の月は, 1月, 8月, 4月の順で休暇を含む月に来潮が多く, 2月が最も少ない。45年, 55年にみられた8月に多い傾向が減少し, 1月が最も多くなった。5.初潮を迎えた場所は, 自宅約8割であった。6.初潮時の所感は, びっくりした, いやな感じ, 恥ずかしかった, 不安になった, わずらわしかったなどの不安自覚が約7割であった。ほっとした, 大人になったような気がした, うれしかった, と心の備えのあったものが約2割であった。7.初潮時の予備知識は, 本調査では, 知識あり9.5割を示した。15年間(昭和45年〜60年)を比較すると, わずかながらも3.3%増加となり, 事前教育は進んでいる。その時期は, ほとんどが小学校期に持っていることになる。昭和45年には6年生がピーク, 55年では5年生, 60年度ではほぼ4年生に移行している。初潮率, 既潮率および予備知識の時期をみると, 本調査では, 既潮率に対して予備知識は常に先行している。その時期は, 昭和45年から15年間に, 約2年間先行したことになる。8.本調査によると, 初潮前の指導は先生約6割以上, 母親約3割他友人, 校医, 姉となっている。15年間の比較をみると, 先生12.3%増, 母親5.2%減となる。初潮発来時に困ったことがあった者は, 約5割強, 困らなかった者は約5割弱であった。困った事の内容は, 精神的不安25.5%, 準備不足17%, 他人に知られること16.3%, 体育活動への参加14.7%, 手当の方法12.2%, 随伴症状6.7%, 知識がなかった6.3%などの順である。
著者
早渕 仁美 舟木 淳子 井上 厚美 柴田 直美 片倉 美穂 河内 幸子
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.37-42, 1991-01-25

調理操作をイラスト化して示し, 従来の文章表記やフローチャート表記との比較検討を行った。3種類の料理(スポンジケーキ, 三色丼, 八宝飯)について, 3通りの方法で作り方を示し, 506名を対象にアンケート調査を行った。文章表記とイラスト表記はほぼ同率でわかりやすいと答えられたが, 比較的馴染みのある料理や, 料理を作り慣れている人の場合は文章表記を, 馴染みのない料理やあまり料理を作ったことのない人の場合はイラスト表記を支持する傾向がみられた。一方フローチャート表記はいずれの場合も支持率が低かった。次にどのような理由であるいはどのような場合に, いずれの表記方法が好まれるかを721名を対象にアンケート調査を行った。「第一印象のよさ」「料理の想像しやすさ」「複数で実際に作る場合のわかりやすさ」はイラスト表記が, 「作業手順のわかりやすさ」「一人で実際に作る場合のわかりやすさ」は文章表記が最も支持された。調理操作をイラストで示すことは, 視覚を刺激して興味を引き, 料理の作り方のポイントや特徴を瞬時に理解させ, 一目でそれがどのような料理であるかを把握させることに役立つのではないかと考えられた。
著者
長 修司 藤井 久雄 白石 淳
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.65-69, 1984-12-25

Bacillus natto産生多糖類あるいは酵母のアルコール抽出物がコレステロール食ラットの脂質代謝におよぼす影響について検討した。(1)Bacillus subtilis natto(納豆菌)産生レバンはラットの血清と肝臓の脂質レベルを低下させることはできなかった。一方, レバンと同じフラクタンである市販のイヌリンは血清の総コレステロールとトリグリセリド量を有意に減少させた。(2)イヌリン投与ラットの食餌コレステロールの吸収率は対照ラットに比べて著しく低下した。(3)Sporobolomyces ruberrimus(赤色酵母)あるいはSaccharomyces uvarum(ビール酵母)のアルコール抽出物はコレステロール食ラットの血清の総コレステロールあるいはトリグリセリド量を減少させた。この報告は著者らの実験指導のもとに本学食物学専攻学生の高橋貴美子, 山口羊子, 安部博美ならびに井波忍君らがまとめた卒業論文の一部である。
著者
早渕 仁美 井上 厚美 池田 正人
出版者
福岡女子大学
雑誌
福岡女子大学家政学部紀要 (ISSN:02883953)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.41-50, 1985-12-25
被引用文献数
2

個人の平均的な食生活実態を, 簡便かつ数量的に把握する手段として, 簡易食生活実態調査票を考案した。調査内容は, 個人情報, 食事状況, 摂取状況に分かれており, 食事状況は10点満点で点数化し, 摂取状況は日頃よく使用する食品(76品目)の平均摂取頻度と1回当たりの目安摂取量から, 1日当たりの摂取栄養量および食品群別摂取量が推定できるようにした。なお, 塩分摂取量は調味や料理の好みなども考慮して推定している。本調査方法と思い出し法による食生活実態調査を行った佐賀県農村婦人(40歳代, No.=121)の事例を上げ, その簡便性と妥当性について, 若干の検討を加えた。