著者
伊佐敷 隆弘
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部紀要. 人文科学 (ISSN:13454005)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.25-52, 2004-09

アウグスティヌス『告白』第11巻の第14章から第28章を,それが置かれているコンテキストから引き離し,独立した時間論として読む。アウグスティヌスの時間探究は,日常の談話における時間についての3種類の語りに含まれている前概念的時間理解の間の不整合の解決を目指して進む。彼は,「時間の動的性格」から「過去非在説・未来非在説・現在瞬間説」を導き,他方,「過去物語・未来予言」と「時間の長さの測定」から「過去と未来の存在」を導く。これらの間の不整合を彼は「記憶としての過去」「予期としての未来」によって回避する。しかし,(1)予期や記憶の「長さ」,(2)時間の向きと「痕跡」「意図」「原因」「徴候」との関係,(3)時間の動的性格への心の寄与などについては彼は十分な説明を与えていない。

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