著者
粟津原 宏子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.114-118, 1982-06-20
被引用文献数
3

卵の熱凝固性に関する基礎的研究として、卵白、卵黄、生卵の各希釈液に食塩(0, 0.5, 1.0, 1.5, 2.0, 2.5%)砂糖(0, 10, 20, 30%)を添加した場合の凝固力の変化および食塩添加による凝固温度の変化を調べた。1.食塩は卵白、卵黄の凝固力に対して全く異なった影響を与えた。卵白では0.5%でも無添加に比べて凝固力は著しく促進され、1.0%で最高となるが、添加量による差は小さかった。卵黄では1.0%添加まではあまり影響がなく、1.5〜2.0%で著しく凝固が促進された。全卵は食塩添加量の増加に従い凝固力を増したが、その変化は卵白、卵黄における、変化をほぼ反映しているようであった。2.砂糖添加の影響は卵白で最も大きくゼリー強度が著しく減少した。卵黄も砂糖添加によりゼリー強度がかなり減少したが、全卵では減少の程度が小さかった。硬さは卵白、卵黄、全卵共同じように低下し、卵白ではゼリー強度の減少の割に硬さの低下が小さかった。3.凝固温度は卵白、卵黄、全卵共食塩量の増加と共に上昇し、特に卵白に食塩1.5%以上添加した場合には著しく上昇した。

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