- 著者
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渡辺 豊子
喜代吉 夏子
山田 光江
- 出版者
- 調理科学研究会
- 雑誌
- 調理科学
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.4, pp.293-300, 1992
- 被引用文献数
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2
生地の製法・材料の配合・生地の分量の異なるケーキを150~200℃(10℃間隔)で焙焼し、その温度履歴を焙焼温度別、製法・分量別に検討した。さらに焙焼中の膨化過程をみることにより製品の形状に与えた影響についても検討した。その結果1.中心温、周囲温とも焙焼温度が高いほど温度上昇は早く、短い時間で安定(1分間に1℃以上温度が上昇しなくなる)した。2.中心温、周囲温とも温度勾配はスポンジ120g>スポンジ190g>パウンド190g>となり、スポンジ同士では生地分量が多いほど生地温の上昇が遅れたが、容量190g同士のスポンジとパウンドでは泡が少なく油脂量が多いパウンドの方が生地温の上昇が遅れ、両者の製法の違いが大きく影響しているものと思えた。3.周囲温安定までを第1期、中心温安定までを第2期、焙焼終了までを第3期とすることによって、製法別に各期の特徴を明らかにすることができた。4.スポンジは第1期にほぼ膨れ終わり(最終ケーキ高さの93~103%)、第2期でも僅かに膨らむが第3期では焼き縮みがみられ、平らなケーキに焼き上がった。5.パウンドは第1期における膨らみは最終ケーキ高さの77~84%であり、第2期においても膨らみ続け山型のケーキとなった。また第2期における膨らみが大きな変化である場合には上面に割れ目が生じ、焙焼温度が高いほど山型は顕著になった。6.今回の条件では、スポンジは160℃付近、パウンドは180℃付近が色と膨れ具合からみて適切な焙焼温度であると判断し得た。