- 著者
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長谷川 芳典
- 出版者
- 日本行動分析学会
- 雑誌
- 行動分析学研究 (ISSN:09138013)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.1-18, 1990-03-31
全語法により漢字単熟語の読みを発声させる訓練を1名の被験児(開始時26ヶ月齢)に実施した。3歳になった時点で、読む力や熟語を生成する力について検討した。(a)単語や熟語を読む速度は、それらが漢字あるいは平仮名まじり漢字で書かれていた場合のほうが、すべて平仮名で書かれていた場合より速かった。(b)習得した漢字で書かれた文の64%は、初回提示から読むことができた。(c)100個の単漢字から57の熟語を作ることができた。日本では、一般に、平仮名を完全に習得してから漢字を教えるべきであると考えられている。しかし、今回の結果は、2歳2ヶ月からでも漢字の読み学習が始められること、そうした早期の学習はのちのより複雑な読み技能の土台となるものであることを示している。従来の漢字教育は再検討が必要である。