著者
長谷川 芳典
出版者
岡山大学環境管理センター
雑誌
環境制御 (ISSN:09171533)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.3-12, 1993-12-15

本稿は,B・F・スキナー(1904~1990)の徹底的行動主義(radical behaviorism)の流れをくむ行動分析学の立場から人間と環境とのかかわりの問題を論じることを目的とする。行動分析学は,ひとことで言えば,生活体と環境とのかかわりを客観的・機能的・実験的に分析することによって行動の原理が実際にどう働くのかを明らかにする学問である。行動分析学の研究がすすめば,個体や集団の望ましい行動を形成・維持するための環境変数を適切に整備できるようになると期待される。しかしこれまで行動分析学は,特に理工系の研究者には殆ど理解されず,むしろ誤解・曲解されてきたように思う。そこで,本稿では,まず主な誤解の解消をめざし,行動分析学は環境制御の問題にどのような新しい視点を与えられるのかを論じることにしたい。
著者
長谷川 芳典
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 1990-03-31

全語法により漢字単熟語の読みを発声させる訓練を1名の被験児(開始時26ヶ月齢)に実施した。3歳になった時点で、読む力や熟語を生成する力について検討した。(a)単語や熟語を読む速度は、それらが漢字あるいは平仮名まじり漢字で書かれていた場合のほうが、すべて平仮名で書かれていた場合より速かった。(b)習得した漢字で書かれた文の64%は、初回提示から読むことができた。(c)100個の単漢字から57の熟語を作ることができた。日本では、一般に、平仮名を完全に習得してから漢字を教えるべきであると考えられている。しかし、今回の結果は、2歳2ヶ月からでも漢字の読み学習が始められること、そうした早期の学習はのちのより複雑な読み技能の土台となるものであることを示している。従来の漢字教育は再検討が必要である。