- 著者
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菅原 健介
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- 性格心理学研究 (ISSN:13453629)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.22-32, 1998
- 被引用文献数
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1
7
本研究はシャイネスの主要な2つの要素である対人不安傾向と対人消極傾向に注目し, これらを独立した特性次元として考えることができるのか, また, 両傾向は他のどのような心理特性と関連しているのかを検討した.大学生男女を対象とした2つの質問紙調査を行い次のような結果を得た.対人不安傾向と対人消極傾向とは因子構造上, 異なる特性として抽出可能であることが示された.前者は公的自意識, 拒否回避欲求と正の相関, 自尊感情と負の相関が見られ, 後者は社会的スキル, 賞賛獲得欲求と負の相関が認められた.これらから, 対人不安傾向は社会的拒否に対する過敏性の表れとして, 対人消極傾向は対人関係に対する無力感の表れとして解釈できると考えられた.以上の結果は, Leary(1983b)の自己呈示モデルとの関連から考察され, シャイネスのメカニズムに関して新たなモデルが提起された.