著者
金子 一史
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.12-22, 1999-09-30 (Released:2017-07-24)

本研究では,一般青年に見られる被害妄想的心性を検討するため,被害妄想的心性を測定する尺度を新たに作成した.被験者は85名の大学生と176名の専門学校生(男子70名,女子190名,不明1名)であった.被害妄想的心性,他者意識,および自己意識からなる質問紙に回答を求めた.被害妄想的心性尺度の因子分析を行った結果,自己関連づけと猜疑心の2因子が抽出された.重回帰分析の結果では,猜疑心は私的自己意識との関連が示されたのに対し,自己関連づけは他者意識および公的自己意識との関連が示された.これらの結果から,被害妄想的心性は自己関連づけと猜疑心の質的に異なる2側面からとらえられることが示された.また,自己関連づけについては,他者に対する関心のあらわれであることが示唆された.
著者
村上 宣寛 村上 千恵子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-39, 1997-10-09 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
6 11

本研究の目的は, 主要5因子を測定する質問紙を作成することである. 予備調査では, 試作版の95項目, GoldbergのSD尺度, MINI性格検査を大学生236名に実施した. SD尺度は5因子モデルのよいマーカーであることが分かった. また, 試作版の因子分析から69項目が選択された. 本調査では, 試作版に, MINIの43項目, 新たに執筆した項目を加え, 合計300項目の質問紙を作成した. その質問紙と, GoldbergのSD尺度, MINIを大学生496名に実施した. MINIの結果から洞察力に問題がある被験者を除き, 443名を分析の対象とした. 最初に暫定版質問紙300項目とSD尺度の各次元の合計点との相関を求め, 合計150項目を選出した. グループ主軸法による分析を行い, 60変数を抽出し, 最終的に, 主因子法と因子パーシモニー基準による直交回転を行った. その後, MINI性格検査の建前尺度12項目を追加し, 並ベ換えを行った. 基準関連妥当性としてSD尺度の各次元の合計点との相関を算出すると, 0.510から0.774の範囲に分布していた. 信頼性をみるために, 主要5因子性格検査(決定版)を大学生227名に1週間間隔で2度実施した. 結果は0.853から0.953の範囲であった. 主要5因子性格検査(決定版)の妥当性, 信頼性はともにかなり高いと考えられる.
著者
渡邊 芳之 佐藤 達哉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.68-81, 1994-03-31 (Released:2017-07-24)

Any behavioral regularity that constitutes a personality construct is the product of an interaction between person and situation. Consequently, one cannot empirically confirm the existence of cross-situational consistency in the behavior associated with such a construct, from observation of behavioral regularity alone, if any. Perceived cross-situational consistency in behavior appears to be mostly resulted from confusing temporal stability for such consistency, reflecting a failure to distinguish different observational viewpoints. Therefore, any causal account of behavior by means of observation-derived personality constructs has no logical basis. Although behavior could still be predicted from personality constructs on the basis of its temporal stability alone, the logic of such prediction is totally different from that of traditional theories of personality. These arguments should clearly show that at least part of the so-called "person-situation debate" is a pseudo-question.
著者
小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.35-44, 2001-10-31 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
3 6

本研究では, 自己愛傾向と自己像の不安定性, 日常の自尊感情レベルおよび変動性との関連, ならびに自己愛傾向が自己像の不安定性を媒介して自尊感情の高さおよび変動性に与える影響について検討した.184名の大学生に対し, 調査1として自己愛人格目録短縮版(NPI-S), 自己像の不安定性尺度を実施し, 調査2として1日の出来事, その出来事の評価, 自尊感情尺度を6日間連続で記入する日記法による調査を実施した.結果から, 自己愛傾向のうち「優越感・有能感」「自己主張性」が日常の自尊感情の高さに関連し, 「注目・賞賛欲求」が自己像の不安定性および自尊感情の変動性に関連することが示された.またパス解析の結果から, 「優越感・有能感」「自己主張性」が自尊感情のレベルに正の影響を与えること, 「注目・賞賛欲求」が自己像の不安定性を媒介して自尊感情の変動性に正の影響を与え, 自尊感情のレベルに負の影響を与えることが示された.
著者
佐藤 徳 安田 朝子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.138-139, 2001-03-30
被引用文献数
6
著者
登張 真稲
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.36-51, 2000-09-30
被引用文献数
3
著者
村上 宣寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-49, 2002-09-30
著者
村上 宣寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-49, 2002-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
1

本研究の目的は語彙アプローチによる研究の準備作業として,性格表現用語を「広辞苑」から収集し,性格表現用語としての適切さ調査を行い,基本語彙のリストを研究者に提供することである.調査1は,心理学専攻の学生4名が収集ルールに基づき,950語を収集した.調査2では,別の心理学専攻生3名が950語を見直し,不適切な14語を削除し,936語を調査対象とした.一人あたり約300語を割り当て,大学生341名に「性格表現用語の理解度についての調査」を行った.性格表現用語としての抹消率の上限を20%とし,752語を収集した.調査3ではサンプリングに漏れていた辻(2001)の基本用語174語と青木(1971a)の25語を調査2と同様の方法で大学生125名に提示し,不適切な用語を抹消させた.調査1〜3の結果,名詞539語,形容詞142語,動詞103語,副詞37語,複合語113語,計934語を収集した.
著者
松沢 正子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.47-60, 1996-03-31 (Released:2017-07-24)

The present study tested Hoffman's hypothesis (1975) that development of self-other consciousness was a prerequisite for development of empathic behavior. Thirty-nine children, 19 1-year and 20 2-year old, were observed at home. Their response to pain simulated by their mother was examined as empathic behavior. Children's developmental level of self-other consciousness was measured with three tasks: joint visual attention, picture showing, and mirror self-image recognition tasks. And their mothers answered a questionnaire to assess their general developmental level. Results showed that the empathic behavior was related to the developmental level of self-other consciousness in 1-year olds. In particular, prosocial behavior was accompanied by successful performance in picture showing task, which is an indication of the emergence of self-other differentiation. No relation was found between empathic behavior and general developmental level. The results therefore supported Hoffman's hypothesis.
著者
登張 真稲
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.36-51, 2000-09-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
5 4

多次元的視点を用いた共感性研究の展望を試み, 「共感的関心」, 「個人的苦痛」, 「視点取得」, 「ファンタジー」の4次元について, どのような変数と関係があるかの検討をおこなった.「共感的関心」は情動性, 他者への非利己的関心, 向社会的行動と正に相関し, 「個人的苦痛」は情動性と正, 制御性と負に相関した.「視点取得」は制御性, 対人認知, 向社会的行動(視点取得教示があるとき)に正, 攻撃性と負, 「ファンタジー」は情動性と正に相関した.次元間の関係については, 「共感的関心」, 「視点取得」, 「ファンタジー」間が正の関係にある.「共感的関心」(愛他的傾向), 「個人的苦痛」(他者の苦痛に対し, 動揺など自己志向の感情反応が起こること), 「視点取得」(他者の気持ちの想像と認知), 「ファンタジー」(他者への同一化傾向)と次元の意味を推測したが, 共感性の次元については, 内容も含め, さらに検討する必要がある.共感性の起源と発達については種々の研究方法が開発されているが, 多次元的視点によるものはまだ少なく, さまざまな角度からさらに検討する余地がある.
著者
村井 潤一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.56-57, 2000-09-30
著者
飯島 婦佐子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.50-64, 1997-10-09 (Released:2017-07-24)

本研究の目的は, 父親の性役割観, 母親からみた父親のソーシャルサポート, 母性意識と幼児の自己(自己抑制, 自己主張・実現)の発達の関係をみることである. 東京の304名の両親が参加した. 方法は質問紙法を用いた. 自己尺度は保育者によって評定された. 女子の場合には, 父親が家事・育児に参加するようになり, 性役割分業観も変化していることを反映して, 家事・育児共有観が実質的サポートを高め, それが専業主婦の母親の母性の受容を高めた. しかし, 母性の受容と子どもの自己の発達の間には何らの関係もなかった. ここに, 何らかの媒介変数を考慮する必要がある. 男子の場合には, 父親の家事・育児への参加の考えは母親の母性の受容を低下した. 別のモデルを考えるべきである.
著者
小島 弥生 太田 恵子 菅原 健介
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.86-98, 2003-03-27 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
5 6

人は自分の自己呈示的行動に対し,他者から何らかの評価を受けることを期待する.その際,期待する評価の方向性に個人差があり,自己呈示方略に影響を与えていると考えられる.本研究では菅原(1986)をふまえ,他者からの肯定的な評価の獲得を目標としやすい「賞賛獲得」と,否定的な評価の回避を目標としやすい「拒否回避」の2つの独立した欲求を想定し,その強さを測定する尺度の作成を試みた.研究1では,賞賛獲得欲求と拒否回避欲求が独立した因子として抽出され,2つの欲求尺度の信頼性,併存的妥当性が検証された.研究2では,賞賛獲得欲求と拒否回避欲求の強さによって他者からの評価的フィードバックへの情緒的反応が異なることが示され,尺度の構成概念妥当性が支持された.研究2の結果から,2つの欲求の概念により,他者からの評価が自己概念とは異なるものであった場合の対処方略についても説明できる可能性が示された.このことから,賞賛獲得欲求・拒否回避欲求の概念が,自己呈示と個人の社会的適応の問題をはじめとする様々な社会的行動を考える上での重要な枠組みを提供し得ることが示唆された.