著者
松野 良一
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.69-74, 1998
参考文献数
7

国内で臓器移植が進まないのを背景に、日本の透析患者が、仲介業者の斡旋で発展途上国に渡り、現地のドナーから腎臓の提供を受けて移植を受ける「腎移植ツアー」が続いてきた。この種のツアーは、「臓器売買」の可能性が強いとされ、散発的にマスコミで報道されて来たが、その全容については明らかにされることはなかった。本論文は、9年間にわたり日本と現地で収集した資料の分析と当事者への面接調査をもとに、ツアーの全体像の把握を試みると同時に、倫理上の問題点の検討を行った。本調査結果によれば、ツアーの渡航先は、フィリピン、インド、バングラデシュ、タイ、中国の5力国におよび、少なくとも58人の日本人患者が、現地で腎移植を受けていることがわかった。ある日本人患者は、6,900万円もの代金を、仲介業者に支払っていた。また、計6人が感染症で死亡していた。1997年10月の臓器移植法の施行により、同種のツアーは排除されることになったが、一部の仲介業者は「情報サービスのみで、斡旋行為はしていない」と、営業を継続している。

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@yuipon1231 1000人の死体が地下にあったら腐乱臭で移植どころじゃないかなぁ でも臓器移植ツアーとかホントにあるし、結さんの言う通り闇は深いね、、、 マスコミはもっと報道しなよと思う https://t.co/Td1ghUWdFn

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