著者
前田 義郎
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.369-380, 2001-12-01

西欧近代とはどのような時代だったか.この問題は近代科学の意味と本質的に関係している.近代科学の成立時には科学革命が起こったが, この革命においていかなる物の見方の変革が行われたのか.そしてこの問いに対する答えは同時に近代哲学の基本性格を決定するものでもあった.アリストテレスの天動説, 運動学を検討すると, 彼の自然学の欠点は, 目に見える感覚像をそのまま実在の反映であると速断したことであることが分かる.この点から, 「対応説」と呼ばれる伝統的な真理観は不十分なものであることを示す.そこで, 私は本稿で「現象の中で実在をどのように観るか」という方法論的, 哲学的問いが重要であることを示す.この問いはプラトンが取り組んだ問いであり, カントを導いた問いでもある.この問いは, 実在の理論としての新たな形而上学的基礎の模索であると言うことのできる.

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