著者
中村 弘
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.383-392, 1980-09-01

免疫応答は脊椎動物のもつ高度に体系化された恒常性維持のための生理機能であり, その多様な応答性は, 動物種族の系統発生と密接に関連している. 現在, こうした免疫応答の仕組みは, 個体の遺伝的性質によって厳しく制御されたリンパ系細胞群の主要な機能として理解されている. 莫大な種類におよぶ抗原のそれぞれに対する免疫反応の特異性は, リンパ系細胞上に存在する細胞自身の遺伝子産物であるリセプター抗体の活性基との反応によって生ずるものであり, この活性構造であるV-部位は, イデオタイプと呼ばれている一群の抗原決定基をもっている. こうした分野における最近の研究を理解する基礎として, 免疫応答の特異性決定のための, また自己制御のための因子である免疫グロブリン分子の主な性状についてまとめた.(1980年5月2日 受付)

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