- 著者
-
永田 頌史
- 出版者
- 一般社団法人 日本心身医学会
- 雑誌
- 心身医学 (ISSN:03850307)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.1, pp.25-33, 2005
- 参考文献数
- 15
社会, 経済, 教育, 医療, 福祉などあらゆる分野で変革が進行中であり, ストレスやストレス関連疾患が増え, 心身医学へのニーズは高まっているが, 課題も少なくない. 本稿では次の4つの点について述べた. 1)喘息, アレルギーに関する病因論の変遷と心身相関を明らかにするための基礎的実験および臨床研究, 喘息の包括的治療に関するガイドラインについて. 2)変革の時代における職場のストレス増加と筆者が関係している産業医学の領域での心身医学の必要性, 近年進められているメンタルヘルス対策およびわれわれの仕事内容について. 3)医療情勢の変化と心身医学へのニーズの変化, 直面している問題と対策について. 4)心の時代とよばれる21世紀における心身医学の展開について述べ, 心身医学の将来の発展という視点から筆者の考えを述べた. 現代は変革の時代とよばれ, 近代史の中でも明治維新, 第二次大戦後に次ぐ3番目の大きな変化が, 産業, 経済, 教育, 医療, 福祉など社会全体で進行中である. 変革には痛みを伴うことが多く, 社会のさまざまな領域でストレスが増え, 心身の健康を損う人が増えている.