著者
金子 猛 磯部 潔 笠原 正男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.46-50, 2003-01-01
参考文献数
9
被引用文献数
4

術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め,開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する.症例は54歳の男性.1996年9月25日より腹痛出現し,入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた.保存的治療で腹痛軽快するが,2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた.小腸造影では異常所見を認めなかった.1996年11月7日,再び腹痛が出現し救急外来受診・CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた.開腹手術を施行し,トライツ靱帯より50cm直肛門側に,小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた・小腸とともに切除した.H.E染色および特殊染色において腺房.1組織,導管とランゲルハンス島を検索され,HeinrichI型の異所性膵組織と診断された.好酸球浸潤を認め,異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.

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