著者
金子 猛 磯部 潔 笠原 正男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.46-50, 2003 (Released:2011-06-08)
参考文献数
9
被引用文献数
5 4

術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め, 開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する. 症例は54歳の男性. 1996年9月25日より腹痛出現し, 入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた. 保存的治療で腹痛軽快するが, 2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた. 小腸造影では異常所見を認めなかった. 1996年11月7日, 再び腹痛が出現し救急外来受診. CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた. 開腹手術を施行し, トライツ靱帯より50cm肛門側に, 小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた. 小腸とともに切除した. H.E.染色および特殊染色において腺房組織, 導管とランゲルハンス島を検索され, Heinrich I型の異所性膵組織と診断された. 好酸球浸潤を認め, 異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.
著者
今津 浩喜 笠原 正男 城野 健児 竹下 健也 丹羽 基博 村上 正基 南 圭介 見元 裕司 田代 和弘 黒田 誠 溝口 良順 堀部 良宗 新井 一史 菅沼 正司 船曵 孝彦
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1499-1505, 1992
被引用文献数
1

手術及び剖検にて得られた十二指腸癌症例中良好なDNA histogram の得られた12症例についてそのDNA ploidy pattern, proliferation index (PI) 及び proliferating cell nuclear antigen (PCNA) との相関を検討した. 12症例中75% (9症例) がDNA aneuploidy を示し, また, (91.6%) 11症例がPCNA染色陽性であつた. 組織型とDNA ploidy pattern, PI, PCNA score 及びPCNA陽性率との間に, また, DNA ploidy pattern とPCNA score 及びPCNA陽性率との間には特に相関がなかつたが, PIとPCNA score との間に相関傾向が, PIとPCNA陽性率との間に有意の相関が (P<0.05) 認められた. PCNAの陽性率の判定には方法論上いくつかの問題点も含まれているが腫瘍細胞の増殖率の判定においては, 少なくとも関連性があるものと考えられた.
著者
金子 猛 磯部 潔 笠原 正男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.46-50, 2003-01-01
参考文献数
9
被引用文献数
4

術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め,開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する.症例は54歳の男性.1996年9月25日より腹痛出現し,入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた.保存的治療で腹痛軽快するが,2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた.小腸造影では異常所見を認めなかった.1996年11月7日,再び腹痛が出現し救急外来受診・CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた.開腹手術を施行し,トライツ靱帯より50cm直肛門側に,小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた・小腸とともに切除した.H.E染色および特殊染色において腺房.1組織,導管とランゲルハンス島を検索され,HeinrichI型の異所性膵組織と診断された.好酸球浸潤を認め,異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.