著者
今井 直基 田辺 博 渡辺 進
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.2800-2803, 1991-11-01
被引用文献数
9

虫垂原発悪性リンパ腫の1例を経験したので, 本邦報告例の検討を加えて報告した. 症例は42歳, 男性. 下腹部痛を主訴として近医を受診し, 急性虫垂炎と診断され当院を紹介された. 虫垂穿孔性腹膜炎の診断で虫垂切除術を施行したところ, 術後の病理学的検索で non-Hodgkin's lymphoma, diffuse, large cell type と診断された. 根治術を目的として第10病日に R_3 リンパ節郭清を伴う右半結腸切除術を施行したが, 切除標本のいずれにも悪性リンパ腫の所見を認めなかった. 虫垂原発悪性リンパ腫はきわめてまれな疾患であり, 本邦報告例は21例にすぎない. 多くは急性虫垂炎の診断で手術がなされ, 術後の病理学的検索で確定診断されていた. 根治術がなされたものは7例 (33.3%) のみであった. リンパ節転移陽性の9例中3例, 陰性の8例中7例が生存中とされていた. 治療は癌腫と同様に根治的切除が第1であり, 症例により後療法が必要と考えられた.

言及状況

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