著者
石田 弘 末廣 忠延 小野 晃路 黒住 千春 渡辺 進
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0686, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】頸部深層屈筋群(頭長筋,頸長筋)には頭頸部屈曲作用(上位頸椎の屈曲と頸椎前彎の減少)がある。この頸部深層屈筋群の機能を間接的に評価する方法が頭頸部屈曲テストである。頸部痛患者では,頸部深層屈筋群の機能低下が生じており,頭頸部屈曲テストの際には,代償的に表層の胸鎖乳突筋の筋活動が増加する(Jull 2000;Jull et al. 2004;Sterling et al. 2001)。また,頸部痛患者では,頸部深層屈筋群の筋厚が健常者と比較して薄いことも報告されている(Javanshir et al. 2011)。そこで,本研究では,頸部深層屈筋群の筋厚を測定することで頭頸部屈曲機能を間接的に評価し,健常者においても頸部深層屈筋群の筋厚が薄いほど頭頸部屈曲テスト時の胸鎖乳突筋の筋活動量が大きいという仮説の証明を目的とした。【方法】対象は健常男性13名(平均年齢19.6±1.2歳,身長169.2±4.0cm,体重61.9±12.6kg)とした。まず,背臥位で被験者の頸部後面にチャタヌーガグループ製の圧バイオフィードバックユニットStabilizerのパッドを置き,圧パッドを20mmHgに加圧した。そして,5段階の目標値を設定して(22,24,26,28,30mmHg),頭頸部屈曲運動によって2mmHg毎に圧を上昇させる頭頸部屈曲テストの練習を被験者に行わせた。頭頸部屈曲テストの練習後,安静時の右頸部屈筋群(頸部深層屈筋群,胸鎖乳突筋)の筋厚を測定した。筋厚は,アロカ社製の超音波診断装置SSD-3500SXの10MHzのリニア型プローブを使用し,Bモードで計測した。測定は背臥位で,どちらの筋も甲状軟骨の喉頭隆起から1.5横指下の高位で画像化を行った。特に表層にある筋は接触させる力によって筋厚が変化するため,胸鎖乳突筋の画像化の際には,プローブの接触圧を鮮明な画像が映る最小限度とした。撮影は各2回で,頸部深層屈筋群では独自に考案した対角幅(Ishida et al. 2014),胸鎖乳突筋は最大膨隆部の前後幅を測定し,計測した各筋の厚さ(mm)の平均値を解析に用いた。また,筋厚比を,頸部深層屈筋群の筋厚を基準とした胸鎖乳突筋の筋厚で算出した(胸鎖乳突筋/頸部深層屈筋群)。筋厚を測定した後に,頭頸部屈曲テスト時の右胸鎖乳突筋活動を記録した。筋電計はNoraxon社製のMyosystem1200を用い,観測周波数帯域は10-500 Hz,サンプリング周波数は1kHzとした。皮膚処理後,電極を中心間距離2.5cmで胸鎖乳突筋の筋腹の下1/3に貼付した。被験者に5段階の目標値(22,24,26,28,30mmHg)に圧を上昇させ,保持できていることを確認しながら各3秒間の筋電図を2回記録し,中間1秒間の積分値を算出した。その後,正規化のためにヘッドリフト3秒間の筋活動量を1回記録し,中間1秒間の積分値を算出した。5段階の目標値を保持している際の胸鎖乳突筋の積分値をヘッドリフト時の積分値で正規化し,2回の平均値を解析に用いた。統計にはIBM SPSS Statistics 22を用い,Pearsonの相関係数で筋厚に関するパラメータと頭頸部屈曲テスト時の胸鎖乳突筋の筋活動量との関係を検討した(p<0.05)。【結果】胸鎖乳突筋の筋厚は11.1±2.1mm,頸部深層屈筋群の筋厚は8.8±1.5mm,筋厚比は1.3±0.3であった。5段階の目標値(22,24,26,28,30mmHg)を保持している際の胸鎖乳突筋の筋活動量との相関係数は,胸鎖乳突筋の前後幅(0.153,0.285,0.329,0.285,0.163),頸部深層屈筋群の対角幅(-0.577*,-0.556*,-0.400,-0.317,-0.202),筋厚比(0.604*,0.649*,0.559*,0.443,0.240)であった(*:p<0.05)。【考察】本研究において,頭頸部屈曲テスト時の胸鎖乳突筋の筋活動量は,頸部深層屈筋群の対角幅との間には22,24mmHgで有意な負の相関関係があること,筋厚比との間には22,24,26mmHgで有意な正の相関関係のあることが分かった。高い圧で相関関係がなかったことは,胸鎖乳突筋以外の表層筋も代償的に活動を高めていたことが理由と思われる。頸部深層屈筋群の筋厚は,頭頸部屈曲運動の筋力を間接的に示すと考える。頸部深層屈筋群の筋厚が薄いことは頭頸部屈曲運動の筋力が低いことを示し,健常者においても,代償的な胸鎖乳突筋の筋活動量増加が認められたことは興味深い。また,筋厚比の相関係数の方が頸部深層屈筋群の筋厚単独よりも高かったことから,最小限の胸鎖乳突筋の筋活動で行う特異的な頭頸部屈曲運動の重要性がより強調されると考える。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果は,頸部深層屈筋群による頭頸部屈曲運動という機能と,筋厚という構造にも焦点を当てて頸部の運動療法を考える必要性があることを示している。
著者
山下 晃徳 吉本 賢隆 岩瀬 拓士 渡辺 進 霞 富士雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.2726-2731, 1994-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
18
被引用文献数
5 4

われわれは嚢胞内乳癌の臨床病理学的特徴をあきらかにする目的で,嚢胞内乳癌と嚢胞内乳頭腫の鑑別診断の可能性,嚢胞内乳癌の嚢胞周囲の乳管内進展を含めた病理組織学的特徴について検討した. 嚢胞内乳癌と嚢胞内乳頭腫との鑑別の可能性は,嚢胞内乳癌31例,嚢胞内乳頭腫23例を年齢,腫瘍径,超音波像などについて比較してみた.嚢胞内乳癌の乳管内進展については, 5mm幅の全割病理組織切片を作成して,癌の広がりをマッピングした. 嚢胞内乳癌は嚢胞内乳頭腫に比べ高齢者に多く, 60歳以上の嚢胞内腫瘍は癌である場合が多かった.また超音波像での両者の鑑別には,嚢胞内の腫瘤の辺縁の形状が大切で,辺縁の不整なものは癌に多いことが分かった. また嚢胞内乳癌は非浸潤癌が多く,腋窩リンパ節への転移も少ないが,乳管内の進展についてみると,約4割の症例が嚢胞壁より2cm以上乳管内を進展していた.
著者
八並 光信 渡辺 進 上迫 道代 小宮山 一樹 高橋 友理子 石川 愛子 里宇 明元 森 毅彦 近藤 咲子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.267-272, 2005 (Released:2006-02-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究の目的は,無菌室という閉鎖環境で治療を要する造血幹細胞移植患者に対して,運動耐容能と移植前後の下肢伸展筋力(変化率)の関連性について検討することである。対象は,造血幹細胞移植を受け,移植前後で運動負荷テストを施行できた40名である。なお,無菌室内の訓練は,主に柔軟体操と立位での筋力強化を行った。移植前の運動負荷テストの完遂率は100%であったが,移植後は57.5%へ低下した。移植後の負荷テストの結果から,対象を完遂群と非完遂群に分け従属変数とし,年齢・性別・体重変化率・前処置のTBIの有無・無菌室滞在期間・下肢筋力変化率を独立変数として判別分析を行った。その結果,下肢伸展筋力の貢献度が最も大きかった。したがって,有酸素運動が困難な無菌室内において,下肢筋力を維持することによって,運動耐容能の低下を遅延させることが示唆された。
著者
渡辺 進 石田 弘 大槻 桂右
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0497, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】慢性腰痛症患者では、疼痛や疼痛に対する不安のために身体活動量が低下し、体力も低下するという報告がみられる。体力低下は患者の社会生活への復帰にとって大きな問題となるので、リハビリテーションの視点からも関心が高い。それに対して、腰痛症患者の体力維持のための有酸素運動についての報告が増えてきた。しかしながら、有酸素運動は腰部の骨・関節や筋への過度の負担をもたらし腰痛の悪化や再発のリスクもともなう。にもかかわらず、有酸素運動時における体幹の筋活動に関する報告は少ない。本研究の目的は、有酸素運動によく使用される自転車エルゴメーター駆動時および歩行時の体幹の筋活動に関する基礎的データを提供することである。【対象と方法】対象は腰痛症の病歴のない健康な男性11名(平均年齢21.7±2.5歳)であった。全員に実験について十分な説明を行い、同意を得た後に実施した。表面電極を3cmの間隔で右腹直筋、右外腹斜筋、右腰部(L3)脊柱起立筋に貼付した。測定と解析にはNORAXON社製筋電計を用いた。始めに最大随意収縮(MVC)を行わせ筋活動の正規化のための基準とした。次に自由歩行を行わせ5歩分を記録した。最後に自転車エルゴメーター(キャトアイ社製)を駆動させた。サドル高は下死点で膝屈曲30度となるように設定した。体幹前傾角度は約85度とした。25Wから開始し順に50W、75W、100Wと負荷を30秒ずつ漸増し、その間の筋活動を記録した。得られたデータは整流し、平均活動電位をMVCで正規化した(%MVC)。歩行時とエルゴメーター各負荷時の%MVCを一元配置分散分析で統計処理した(p<0.05)。【結果】腹直筋について、歩行時5.2±4.2%、エルゴメーター負荷25W時5.7±5.3%、50W時5.7±4.9%、75W時6.2±5.7%、100W時6.5±5.6%であった。いずれの間にも有意差はなかった。外腹斜筋について、歩行時33.3±19.0%、25W時27.8±14.5%、50W時28.9±15.0%、75W時30.3±14.2%、100W時32.7±16.0%であった。いずれの間にも有意差はなかった。脊柱起立筋について、歩行時12.1±3.6%、25W時7.3±2.6%、50W時8.8±3.2%、75W時10.5±4.3%、100W時11.7±4.7%であった。歩行時と25W時、歩行時と50W時および25W時と100W時の間に有意差がみられた。【考察】エルゴメーター駆動時の腹直筋活動は歩行時と大差なく約6%MVCであった。腹直筋は腹部前面の筋のため、両下肢の交互運動の影響が少ないものと思われる。外腹斜筋も各運動の比較では同様の傾向であったが、約30%MVCと比較的高値を示した。外腹斜筋は腹部側面の筋のため、両下肢の交互運動時の体幹固定のために比較的高い活動を求められるためと考えられる。脊柱起立筋は歩行時と比較してエルゴメーター駆動時には低値を示し、負荷の増加に応じて漸増した。両下肢の交互運動時に脊柱を後方から安定させるために漸増したものと思われる。
著者
渡辺 進武 丹羽 直正 酒井 茂 上田 康信 川上 紳一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.7-10, 2003
参考文献数
2

現行の学習指導要領では,小学理科「月と星」の学習で月の動きについて学習するものの満ち欠けのしくみまでは学習しない.にも関わらず中学生になって,金星の観測を行って満ちかけが金星の公転によることを学習することになっている.こうしたカリキュラムの中で,中学3年生には天体望遠鏡組み立てキット(スピカ)を一人一つずつ与え,継続的な金星の観測を行って,満ち欠けのしくみをモデルを使って理解する授業を実践した.一方,小学4年生にも同じ望遠鏡を与え,月の満ち欠けの学習を試みた.岐阜大学教育学部の屋上で撮影した天体画像をホームページで公開し,児童・生徒の観測への動機づけや観測結果の確認に使用した.これらの授業実践をもとに,天体望遠鏡(スピカ)とweb教材がより充実した学びへと支援できるか検討を行った.
著者
中川 元興 渡辺 進二
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.260-264, 1957

15 crosses were used to study on the inheritance of kernel texture in wheat varieties which affects mealy and glassy of kernels and results were shown in table 1 and figure 1. From these results, the inheritance of kernel texture was proved to be influenced by factors in the generation of F<SUB>2</SUB> seed. The method of testing of kernel texture may be described as follows : After harvested, each kernel of parents and F<SUB>2</SUB> Seed was cut off middle part of kernel (cross section) by razer blade on the glass plate, and cross section of kernel was magnifyed by the magnifying glass (2. 5 fold) and selection which was made after a thorough comparison can be classified as follows. Glassy kernel (G) decided to select completely glassy, semi-glassy kernel (g) was selected almost parts (over 80%) of cross section were occupied by glassy, semi-mealy kernel (m) are occupied by mealy over 80% and mealy kernei (M) completely mealy. Segregation ratios was compared with glassy (contained G and g) and mealy (contained M and m). The results of segcrregation ratios to lernel texture of F<SUB>2</SUB> Seed generation, the factor hypothes and factor analysis were applied in this report as mentioned above. Results obtained may be summerized as follows.
著者
中川 元興 渡辺 進二
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.260-264, 1957-03-25

15 crosses were used to study on the inheritance of kernel texture in wheat varieties which affects mealy and glassy of kernels and results were shown in table 1 and figure 1. From these results, the inheritance of kernel texture was proved to be influenced by factors in the generation of F_2 seed. The method of testing of kernel texture may be described as follows : After harvested, each kernel of parents and F_2 Seed was cut off middle part of kernel (cross section) by razer blade on the glass plate, and cross section of kernel was magnifyed by the magnifying glass (2. 5 fold) and selection which was made after a thorough comparison can be classified as follows. Glassy kernel (G) decided to select completely glassy, semi-glassy kernel (g) was selected almost parts (over 80%) of cross section were occupied by glassy, semi-mealy kernel (m) are occupied by mealy over 80% and mealy kernei (M) completely mealy. Segregation ratios was compared with glassy (contained G and g) and mealy (contained M and m). The results of segcrregation ratios to lernel texture of F_2 Seed generation, the factor hypothes and factor analysis were applied in this report as mentioned above. Results obtained may be summerized as follows.
著者
"八並 光信 渡辺 進 上迫 道代 小宮山 一樹 高橋 友理子 石川 愛子 里宇 明元"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.227-235, 2005
被引用文献数
1

"本研究の目的は,造血幹細胞移植患者の無菌室治療期間中に生じる廃用症候群に対して,理学療法の頻度による効果の違いを検討することにある.対象は,2002年1月より2003年12月までの患者57名中,重度のGVHDおよび早期死亡を除いた34名であった.理学療法評価は,移植患者の握力・下肢伸展筋力・運動耐容能について無菌室入室前後(移植前後)で行った.理学療法は,理学療法士のデモンストレーションに従って,患者が自覚的運動強度で「きつい」と感じる強度で,ストレッチングおよび筋力増強訓練を15分から20分間行った.この他,理学療法士の非監視下で行う自主訓練は毎日行った.理学療法士のデモンストレーションに従って患者が行った理学療法頻度の違いにより,隔日群(16名)と毎日群(18名)の2群に分けた. 移植前後の筋力の変化率に対する,訓練頻度の違いによるに効果は認められなかった,運動耐容能の変化率に対する効果は,運動耐容時間を除き認められなかった.移植前後の筋力・運動耐容能の変化率を従属変数,性別・年齢・入院から移植までの期間・無菌室期間・訓練頻度を独立変数として重回帰分析を行った.筋力の変化率に関しては,無菌室滞在期間が寄与していた.しかし,運動耐容能の変化率は,この回帰モデルで説明できなかった. 我々は,今後も,移植治療中の廃用症候群を抑制できる理学療法システムについて検討していきたい."
著者
八並 光信 渡辺 進 上迫 道代 小宮山 一樹 高橋 友理子 石川 愛子 里宇 明元"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.227-235, 2005
被引用文献数
1

本研究の目的は,造血幹細胞移植患者の無菌室治療期間中に生じる廃用症候群に対して,理学療法の頻度による効果の違いを検討することにある.対象は,2002年1月より2003年12月までの患者57名中,重度のGVHDおよび早期死亡を除いた34名であった.理学療法評価は,移植患者の握力・下肢伸展筋力・運動耐容能について無菌室入室前後(移植前後)で行った.理学療法は,理学療法士のデモンストレーションに従って,患者が自覚的運動強度で「きつい」と感じる強度で,ストレッチングおよび筋力増強訓練を15分から20分間行った.この他,理学療法士の非監視下で行う自主訓練は毎日行った.理学療法士のデモンストレーションに従って患者が行った理学療法頻度の違いにより,隔日群(16名)と毎日群(18名)の2群に分けた. 移植前後の筋力の変化率に対する,訓練頻度の違いによるに効果は認められなかった,運動耐容能の変化率に対する効果は,運動耐容時間を除き認められなかった.移植前後の筋力・運動耐容能の変化率を従属変数,性別・年齢・入院から移植までの期間・無菌室期間・訓練頻度を独立変数として重回帰分析を行った.筋力の変化率に関しては,無菌室滞在期間が寄与していた.しかし,運動耐容能の変化率は,この回帰モデルで説明できなかった. 我々は,今後も,移植治療中の廃用症候群を抑制できる理学療法システムについて検討していきたい.
著者
森藤 隆夫 渡辺 進 七宮 実 斉藤 孝一 西間木 友衛 吉田 浩 粕川 禮司
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.422-429, 1981
被引用文献数
3 2 11

各種膠原病(SLE 23例,RA 26例,PM-DM 17例,PSS 10例,Sjö-s 7例,Aort-s 4例)87例について,肝機能検査成績と生検肝組織を検討した.その結果,肝腫大17例(19.5%),黄疸8例(9.1%), HBs抗原陽性2例(2.8%), HBs抗体陽性18例(20.7%), Al-p値異常15例(17.2%), ICG異常16例(18.4%)が認められた.一方,経過中,GOT, GPT値に異常が認められた例は61例(70.1%), GOT, GPT値が100Ku以上であった例は,それぞれ36例(41.4%),16例(18.4%)であり,SLE, PM-DMに多くみられた.<BR>生検肝による組織学的検索は40例に行ったが,慢性肝炎様組織群6例,急性肝炎様組織群3例,非特異性肝炎群13例,脂肪変性群11例,正常組織群7例と多彩であり,その中ではSLE, Sjö-sで組織変化が強かった.以上の原因として,薬剤,肥満,ウイルス感染,悪性腫瘍の肝転移例が少数みられたが,多くは原因不明であったことから,膠原病においても何らかの肝障害が生じるものと思われた.
著者
大槻 桂右 鈴木 哲 河野 英美 渡辺 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.793-796, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
13

〔目的〕簡便な方法で無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold; AT)を測定することが求められている。本研究の第一の目的は,心拍数二乗(HR)2法によってATの検出を試み,基礎的データを提供することとした。さらに,第二の目的はV-slope法ならびに二重積屈曲点(Double Product Break Point; DPBP)法を用いて検出されたATを比較し,(HR)2法の有用性を検討した。〔対象〕健常成人男性10名(23.8±2.5歳)を対象とした。〔方法〕自転車エルゴメーター上にて,5分間の安静座位の後,0 wattでのウォーミングアップを3分間行い,続いて30 wattsから開始した。運動負荷は2分ごとに10 wattずつ負荷を増加させる多段階運動負荷試験を用いた。〔結果〕(HR)2法,DPBP法,V-slope法によるAT検出時のVO2は,それぞれ有意差を認めなかった。また,AT検出時のwattsもそれぞれ有意差を認めなかった。〔結論〕(HR)2法はAT検出に関わる心拍数ならびに負荷量を簡便に知ることが可能な方法の一つであると考えられた。
著者
今井 直基 田辺 博 渡辺 進
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.2800-2803, 1991-11-01
被引用文献数
9

虫垂原発悪性リンパ腫の1例を経験したので, 本邦報告例の検討を加えて報告した. 症例は42歳, 男性. 下腹部痛を主訴として近医を受診し, 急性虫垂炎と診断され当院を紹介された. 虫垂穿孔性腹膜炎の診断で虫垂切除術を施行したところ, 術後の病理学的検索で non-Hodgkin's lymphoma, diffuse, large cell type と診断された. 根治術を目的として第10病日に R_3 リンパ節郭清を伴う右半結腸切除術を施行したが, 切除標本のいずれにも悪性リンパ腫の所見を認めなかった. 虫垂原発悪性リンパ腫はきわめてまれな疾患であり, 本邦報告例は21例にすぎない. 多くは急性虫垂炎の診断で手術がなされ, 術後の病理学的検索で確定診断されていた. 根治術がなされたものは7例 (33.3%) のみであった. リンパ節転移陽性の9例中3例, 陰性の8例中7例が生存中とされていた. 治療は癌腫と同様に根治的切除が第1であり, 症例により後療法が必要と考えられた.