著者
安井 修二
出版者
尾道大学経済情報学部
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.1-14, 2002-12

バブル崩壊のあと日本経済は1990年代から現在まで10年余りにわたる長期不況を経験してきた。途中、景気の立ち直りかと思わせる局面が3度ほどあったが、その都度「失速」を繰り返し、安定上昇軌道に戻れなかった。この間、マクロ経済政策としての財政政策と金融政策が大規模に実行されたにもかかわらずである。こうした長期停滞の経験は第2次大戦後の日本で初めてであり、また1929年の株価暴落に始まる米合衆国の大不況とも違ったものである。本稿は生産物市場、資産市場、労働市場の状況の過去の不況と比較しての違った様相を概観しつつ、大蔵省(現、財務省)、日本銀行、金融庁(大蔵省から銀行部門が分離)、与党議員間の相互不信と際限のない批判のやり取りが市場の期待を冷やし続けてきたことを最も重要な要因として指摘した。問題そのものの難しさは認めつつも、日本の政治システムの混迷に根ざす政策策定・実行能力の無さが顕著であったことを強調した。尾道大学経済情報学部論文

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