著者
稲垣 卓造
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.148-156, 1989-02-10
被引用文献数
2

この研究は, 景観設計への応用を目的とし, 建築外部色彩と広告塔の色彩の視覚効果を定量化するために行ったものである。実験では, コンピュータグラフィックスにより作成された150の刺激を, カラースライドで被験者に提示した。まずファサードの色彩が異なった建築のスライドを, 17の形容詞対によりSD法で評価させた (実験1)。次に150の広告塔 (3つの規模, 10色の広告塔, 5色の下層建築の組合せ) に対する評価を「効果点」, 「不快さ」の2つの尺度で評定させた (実験2)。1) 因子分析により4因子が抽出された。第I因子は建築外観の快さに関係し, 「評価」因子と名付けた。第II因子は外観の活気の程度に関係するため, 「活動」因子とした。第III因子は「暖かい-冷たい」の尺度だけに関与し, 「暖かさ」因子と命名した。そして第IV因子は, 「明確さ」因子とした。2) 数量化I類により, 第I因子「評価」は他の要因よりも明度の影響を強く受けていることが明らかになった。また「活動」は彩度に, 「暖かさ」は色相に影響されている。すなわち, 明度が高くなるほど建築は快く感じられ, 彩度が高くなるほど活気が出てくる。3) 広告塔の「効果点」は主として, 建築との明度差に依存し, ついで広告塔の色彩自体が影響力をもつ。「不快さ」もまた, 明度差に最も大きく影響を受ける。

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