著者
池田 光男 芦澤 昌子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.140-147, 1993-01-01
被引用文献数
6

夜間の交通事故の一つの原因として, 歩行者がドライヴァーにとって見えにくいということがある。そこで目立つ色を歩行者の衣服に採用するという観点から目立つ色を検討し, マンセル色相で8Rが明るいところで目立ち, 8BGが暗いところで目立つことを明らかにしてきた。その応用として両者を配置した衣服も提案した。ところでこれらの実験では被験者は視線を自由に動かしてよいという条件であった。しかし交通の実際の場面では, ドライヴァーはむしろ周辺視野でまず対象物を捉えるという状況にあるので, 周辺視野での色の目立ちを知る必要があると考えられる。そこで本研究は刺激色票を中心から視角で10度, 20度, 30度, 35度の4位置に呈示し目立ち得点を測定した。刺激色票は12種類, 測定した照度レベルは0.01 lXから1000 lxにかけての6段階である。その結果, 明るいところでは赤系の色が目立つ, 逆に青系は目立たない, 暗いところでは青系が目立ち, 赤系は目立たないという以前の結果を確認したが, 視野周辺に刺激を呈示しても明るいところで赤系の色がやや得点を減らす被験者があるとはいうものの, 概して呈示視野位置の影響はないことが明らかになった。

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