著者
佐藤 昌子 皆川 基
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.137-146, 1994-08-01
被引用文献数
8

彩色模様のついた文様を見た場合, 模様による線と色による面がわれわれの眼を同時に刺激し, 感情に様々な変化をおこさせる。模様と色彩が感情効果に及ぼす影響について明らかにすることを目的として, 文様(模様と色彩)を印刷した20枚の顕色パネル, 40名の女性被験者, および25の感情尺度を用いてSD法によって検討した。視覚刺激のための20枚の文様(17.3×17.5, 18.2×15.3cm^2の大きさ)は, コンピュータシミュレーションシステムによって模様と色彩を互換する方法で作成した。原図として用いた4枚の文様は, 2枚の日本の伝統的文様, 2枚のヨーロッパの伝統的文様で出版物の印刷図版より引用した。SD評価値を因子分析した結果, 5つの因子が抽出された。第1因子ははなやか-おちつきの活動性の因子, 第2因子はソフ卜-ハードの潜在性の因子, 第3因子は調和-不調和の評価性の因子, 第4因子はシンプル-凝ったの潜在性の因子, 第5因子は日本的-異国的の伝統性の因子であることが, それぞれ推論された。以上の結果, 活動性の因子は模様よりも色彩によって, 潜在性と伝統性は色彩よりも模様によって, また, 調和性などの評価性は模様と色彩の両方の影響を受けることが明らかになった。

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