- 著者
-
皆川 基
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.7, pp.256-263, 1976-07-25 (Released:2010-09-30)
- 参考文献数
- 21
衣類洗浄を細菌学的視点から検討することを目的として, 家庭, 通学, 通勤, ボーリング場およびスケート場などの種々の環境下で着用された靴下の汚染状態を検討した.その結果, 着用後の靴下からは多種類の菌が検出され, Staphylococcus epidermidis, Staphylococcus aureus, Enterococci, Micrococcus, Bacillus subtilis, Diphtheroid bacilli, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter aerogenes, Proteus vulgaris, Candida albicansなどの11種の細菌ならびに真菌が分離・同定された.靴下には運動性の高いProteus vulgarisなどの汚染細菌を含む特徴が認められ, 一般に羊毛, 絹, 綿などの天然繊維を素材とする靴下では著しく多くの菌が検出される.しかし靴下着用後の足部皮膚表面の細菌汚染状態についてみると, 天然繊維を素材とする靴下を着用した場合には合成繊維を素材とする靴下に比し, 非常に少なくなる傾向が認められるので, 靴下に付着する多くの細菌に対して, 高い除菌効果を示すような洗浄方法が確立されるならば, 天然繊維を素材とする靴下はむしろ衛生学的視点からは高く評価されるべきであろう.