著者
塩野義製薬株式会社植物薬品開発部
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌(Journal of Pesticide Science) (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.349-353, 1991

アイオキシニルの安全性評価のための各種毒性試験を実施した.本剤は原体, 乳剤, 水和剤とも劇物に指定されている.ウサギにおいて乳剤では高度の眼刺激性および中等度の皮膚刺激性, 水和剤では非常に軽度の眼刺激性が認められたが, 両製剤とも実使用濃度希釈液では眼・皮膚刺激性は認められなかった.また水和剤ではモルモットにおける皮膚感作性が陽性であった.亜急性毒性試験, 慢性毒性/発がん性試験では, 中間・高用量群においてラットおよびマウス肝障害, ラットに体重増加の抑制, 脱毛および甲状腺ろ胞上皮過形成の発生頻度の上昇が認められたが, 発がん性は認められなかった.マウスにおける2世代繁殖/催奇形性併合試験, ウサギにおける催奇形性試験では, 繁殖に及ぼす影響も催奇形性も認められなかった.変異原性に関しては, in vitro染色体異常試験の代謝活性化法の場合のみ疑陽性と判定されたが, 小核試験を始めその他の変異原性試験の結果はすべて陰性であった.薬理試験では特異的な薬理作用は認められなかった.アイオキシニルは昭和42年, 30%乳剤の麦類で初回登録を取得し, その後トウモロコシ, バレイショ, タマネギ, リンゴおよび公園・庭園等に順次適用拡大を行なった.さらに平成元年には芝専用剤である6%水和剤の登録を取得した.アイオキシニルの登録保留基準値は, 麦・雑穀, 果実, 野菜, イモ類についておのおの0.1 ppmと設定されている.アイオキシニルは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 有用な農業資材の一つとして上市以来好評を得ている.

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