著者
吉岡 正晴 杉村 忠敬
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.183-197, 1994
被引用文献数
4

&emsp;咬合力に対する頸椎の力学的反応を解明する目的で, 麻酔下の成熟日本ザルの両側の咬筋を電気刺激して, 咬合させたときおよび片側の犬歯あるいは第一大臼歯で3, 7および10mmの物質を噛ませたときの各頸椎の左右の椎弓板のひずみを測定した. <br>&emsp;作業側では犬歯で木片を噛ませたときには第二頸椎が, 第一大臼歯で噛ませたときには第四頸椎が, 非作業側では木片を犬歯で噛ませたときでも第一大臼歯で噛ませたときでも, 第三頸椎と第七頸椎とが, 噛むことによって頚椎が片側に傾斜するのを防ぐ支点としての役割を果たしている. <br>&emsp;犬歯で木片を噛ませると, 頸椎の上部は収縮し下部は伸展する. そして, 中間部は上部と下部との変形のバランスをとるために作業側が伸展し非作業側は収縮する傾向がある. これに対して, 第一大臼歯で木片を噛ませると, 木片が厚くなればなるほど作業側ではほとんどの部位が体軸方向に伸展し, 非作業側では頸椎の多くが水平方向に伸展(圧迫)する. <br>&emsp;また, 犬歯あるいは第一大臼歯でどの厚さの木片を噛ませても, 第六頸椎の非作業側には応力が集中する傾向がみられた. しかし, 頸椎には顔面や頭蓋を構成している骨よりも応力を分散させることを示唆するひずみ波形が多く認められることから, 咬合や咀嚼運動時には, 各頸椎はそれぞれの位置や形状に応じて変形して, 応力を巧妙に分散していると考えられる.

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