著者
土居 正英 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.189-204, 1995-06-25
被引用文献数
4

著者らは, Prevotella intermedia (P. intermedia) strain E18に強い赤血球凝集活性を見いだし, 凝集因子を分離精製している. P. intermedia strain E18の継代培養でしばしば黒色色素を産生しないコロニーがみられるので, 本実験では, これらの黒色色素非産生コロニーを分離し, 黒色色素産生株との性状を比較検討した. その結果, P. intermedia strain E18, 3株の黒色色素非産生株(strain E1801, E1802, E1803)およびtype strainであるP. intermedia ATCC 25611は, API ZYM systemでそれぞれ alkaline phosphatase, acid phosphatase, phosphoamidase および α-glucosidase 活性を示した. SDS-PAGEによる可溶性タンパク泳動パターンはいずれの菌株とも類似していた. また, P. intermedia strain E18と黒色色素非産生株は菌体表層に線毛構造がみられず, 両者の間に形態学的な相違は認められなかった. 赤血球凝集性は, 対照としたP. intermedia ATCC 25611では8AUであったのに対して, P. intermedia strain E18と黒色色素非産生株はともに32AUであった. 試験したすべての培養菌液と P. intermedia strain E18を硫安分画で濃縮し, ショ糖密度勾配遠心で得た vesicle画分である fraction B と C に対する抗fraction B および抗fraction C抗血清との間には共通する二本の沈降線が認められた. また, fraction Aを Arginine-agarose とゲル濾過でさらに精製し, SDS-PACEで約25kDaのバンドを示す赤血球凝集因子に対する抗血清と各培養菌液とを反応させた場合も共通する一本の沈降線が認められた. P. intermedia strain E18および3株の黒色色素非産生株はいずれもβ-lactamase, DNase, lecithinase および lipaseを産生した. パルスフィールド電気泳動では, P. intermedia strain E18, 黒色色素非産生株とも2,200kb と 750kb付近に二本のバンドが認められ, chromosomal DNAに相違は認められなかった. 以上の結果から, 黒色色素非産生株は P. intermedia strain E18由来の変異株であると考えられる.

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