- 著者
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原 佳代子
小野 圭昭
権田 悦通
- 出版者
- 大阪歯科学会
- 雑誌
- 歯科医学 (ISSN:00306150)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.3, pp.271-282, 2001-09-25
本研究は, 下顎骨弓幅径変化を計測し, 同時に切歯部と顆頭部の下顎運動との関係を分析することによって, 下顎の基本運動時における下顎骨弓幅径の経時的変化ならびに顆頭運動と下顎骨弓幅径変化との関連を明らかにすることを目的とした.被験者は顎口腔系の機能に異常を認めない25〜28歳の男性5名とした.下顎骨弓幅径の計測はLinear Variable Differential Transformer(LVDT)用い, 下顎運動(切歯点と顆頭点)の計測には6自由度顎運動計測器ナソヘキサグラフを用いた. 被験運動は, 開口運動, 前方運動, 側方運動とし, 被験者それぞれに可能な顎位まで運動を行わせた後, それぞれの最大移動顎位において下顎を保持させた.その結果, 以下の結論を得た.1.下顎骨弓幅径は各運動時に減少し, 最大減少量は, 前方運動時333.73±96.25μm, 開口運動時295.25±52.92μm, 側方運動時77.04±33.31μmであり, それぞれに有意な差が認められた.2.すべての運動において下顎骨弓幅径減少量は顆頭点の移動量増加に伴い有意に上昇した.3.すべての運動において顆頭点移動量に伴う下顎骨弓幅径の経時的変化に往路と復路間に差はなかった.4.顆頭点移動量に伴う下顎骨弓幅径変化は, 運動の種類によって異なり, 顆頭点の同一移動量における下顎骨弓幅径減少量は, 前方運動, 開口運動, 側方運動の順に大きかった.以上のことから, 各運動内においては下顎骨弓幅径減少量は顆頭点移動量と密接な関係を持つが, その経時的変化は運動の種類によって影響を受けることが明らかとなった.