著者
平 春枝 平 宏和
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.185-196, 1973-06-30

大豆30品種を石岡・塩尻および熊本の大豆育種試験地の圃場でそれぞれ栽培し, 得られた大豆について18種類のアミノ酸組成を微生物法を用いて調べ, 各地域における生育特性(開花まで, 登熟および成熟までの日数), 栽培環境(開花まで, 登熟および成熟までの積算平均気温, 積算日照時間, 積算降水量), 一株粒重, 千粒重, タンパク質およびディスク電気泳動法によるタンパク質成分組成(A・B・C・D・E)間の相関などについて検討を行なつた. アミノ酸組成の地域的変動は, 石岡産大豆にくらべて熊本産大豆のアルギニン含量が高く, トリプトファンおよびシスチン含量の低い傾向が認められた. また, 石岡産大豆にくらべて塩尻産大豆はアルギニン含量が高く, チロシン・シスチン含量の低い傾向があり, この地域差の原因ほタンパク質含量の違いに帰因することが認められた. 一方, アミノ酸含量の品種間の変動は, メチオニン・シスチンが大きく, 品種間におけるメチオニン含量は, 白莢1号・こうじいらず・松浦・1号早生が高く, 兄・ヤマベ・ネマシラズ・白鳳が低い. 一方, シスチン含量は, 赤莢・白鳳・奥羽13号が高く, ヤマベ・金川早生・白莢1号・アイサ・農林2号が低い. アミノ酸含量に与える生育特性・栽培環境などの要因との相関は, グリシン・アラニン・バリン・ロイシン・トリプトファン・シスチン(グループA)との間に正の相関が, アスパラギン酸・グルタミン酸・フェニルアラニン・チロシン・メチオニン(グループB)との間に負の相関が認められた. また, イソロイシン・リジン・アルギニン・ヒスチジン・プロリン・セリン・スレオニン(グループC)との間には相関が 認められなかった. タンパク質含量との相関は, グループBに属するいずれかのアミノ酸およびアルギニンが正の, グループAに属するいずれかのアミノ酸が負の相関を示した. アミノ酸含量とタンパク質成分組成含量(A・B・C・D・E)との相関が2地域以上に認められたものでは, A成分とトリプトファンが負の相関を, C成分とイソロイシン・フェニルアラニン・スレオニンが負の相関を, D(11S)成分とスレオニンが正の, チロシンが負の各相関を示し, E(7S)成分とセリンが正の相関を示した.

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しかも大してグリシンが多いわけでもないらしい。謎が深い。 https://t.co/CLRwDwzccq

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