- 著者
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佐々木 良治
星川 清親
- 出版者
- 日本作物学会
- 雑誌
- 日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.2, pp.259-267, 1997-06-05
- 被引用文献数
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水稲乳苗の活着における鞘葉節冠根の役割を評価するために, 乳苗の根系を構成する種子根および鞘葉節冠根に種々の断根処理を施したのち移植し, 7日間生育させ活着への影響を調査した. 根の基部から1.5cmあるいは3.0cmですべての根を切断して移植しても, 移植7日後の生育は, 断根処埋をしない無処理苗の生育と同様であった. しかし, 切断位置を根の基部から0.5cmにして移植すると, その生育は, 無処理苗の生育に比べて有意な低下を示した. また, 種子根と4本の鞘葉節冠根の根端を除去して移植しても, 第3葉の抽出速度および移植7日後の生育はほとんど影響を受けなかった. 一方, 種子根と最長の鞘葉節冠根とをその基部で切断して移植すると, 移植後の生育は明らかに抑制された. 移植7日後の総乾物重 (茎葉と根) および移植した苗に残存した根の総根長を, 無処理苗に対する処理苗の割合として表し両者の関係をみると, 総乾物重は残存した根の総根長と密接に関連し, 総根長の減少にともなって低下した. これらの結果は, 移植された乳苗の生育は, 苗に残存した根の総根長によって影響されることを示唆している. 移植された乳苗にとって, 鞘葉節冠根は養水分の吸収という点で大きな役割を担い, 第1節冠根を速やかに発根させることで活着すると推察される.