著者
杉浦 和彦 坂 紀邦 工藤 悟
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.30-35, 2005-03-05
被引用文献数
2 3

糯米は切り餅, 米菓に加工されることが多いため, 食味及び加工適性が重視されている.加工適性のうち餅硬化性は, 製造時間の短縮につながる品質要因として重要視されている.そこで, 良品質な糯品種を簡易に育種選抜するために餅硬化性及び食味の簡易評価法を検討した.餅硬化性の評価法にはラピッド・ビスコ・アナライザーを用いた方法がある.しかし糯米の場合, 内生α-アミラーゼ活性を抑えるため, 劇物である硫酸銅が主に使用されている.そこで, 劇物を用いない方法として塩化ナトリウムの添加を検討したところ, 硫酸銅水溶液と塩化ナトリウム水溶液の各糊化特性値に相関が認められた.一方, 糊化開始温度及びピーク温度と餅硬化性との間に相関が認められたため, 両温度は餅硬化性の選抜指標となると考えられた.玄米タンパク質含量は食味総合評価, 滑らかさ, うま味及び粘りとの間に有意な負の相関が認められた.このことから, 玄米タンパク質含量が低い品種・系統ほど切り餅食味が優れることが示唆された.玄米タンパク質含量は, 近赤外分析計により少量で推定が可能であるため, 切り餅食味の優れる糯品種育成の一次選抜の指標となると考えられた.

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