著者
樋口 恭子
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.237-242, 2003-04-05

鉄はLactobacillusやBacillusなどごく一部のバクテリアを除く全ての生物にとって必須の元素であり、多くの酸化還元反応に関与している。鉄は地球上で4番目に多く存在する元素であるが、好気的な条件では三価鉄になるため難溶性になり、これに加えて中性以上のpHになると溶解性がさらに低下するため、地球上の生物はしばしば鉄欠乏条件にさらされる。ポルフィリン環の生合成酵素が鉄を必要とするため、植物では鉄欠乏になるとクロロフィルが減少し葉脈間クロロシス症状を呈する。鉄吸収能力(ムギネ酸生合成)を強化した結果、鉄欠乏耐性イネができている。しかし水耕で極端な鉄欠乏条件にした場合、オオムギは激甚なクロロシスになっても新葉の展開や伸長には大きな影響はないが、イネは新葉の成長が著しく抑制されることから、植物体内の鉄の利用効率は植物種によってかなり異なると考えられる。鉄の吸収だけでなく移行や利用効率を高められれば、さらに適用範囲の広い鉄欠乏耐性作物が開発できると思われる。鉄貯蔵能力(フェリチン発現)を強化した結果、イネ穀粒の鉄含量を約3倍に、レタス葉の鉄含量を2割から7割増加させることに成功している。これに吸収、移行能力を強化して鉄含量を著しく増加させれば鉄強化食品としての価値を高めることができるであろう。その際には鉄過剰害を起こさないよう鉄の分配や解毒も考慮する必要がある。以上のような目的のため、今後、植物体内の鉄の移行や分配についての研究が進展することが望まれる。

言及状況

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