- 著者
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木村 忠直
- 出版者
- バイオメカニズム学会
- 雑誌
- バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.3, pp.141-147, 2000
多くの哺乳類における大腰筋は相同形態であるが,長い進化の過程で骨盤の解剖学的な特徴と生態行動の適応を強く受けていることが示唆される.そこで骨格筋を構築している3タイプの筋細胞をヒト,オランウータン,アヌビスヒヒ,ハマドラスヒヒ,ニホンザルの大腰筋をモデルとして,その筋線維構成を比較検討した結果,ヒトの大腰筋は持久力を発揮するタイプI型の赤筋線維の頻度が最も高く,逆にオランウータン,ヒヒ,ニホンザルでは瞬発力を発揮するタイプII型の白筋線維が高いことが示された.この差はヒトの直立二足姿勢とオランウータンやサルの四足姿勢によるロコモショーンの機能分化が筋線維構成に反映していることを示すものである.