- 著者
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福井 勉
- 出版者
- バイオメカニズム学会
- 雑誌
- バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.3, pp.153-158, 2000
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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5
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大腰筋は姿勢や動作に大きく関与する筋である.その長さとともに,身体における位置が非常に特異的である.身体重心位置を大きく覆っているだけでなく,身体重心高位となる骨盤には付着していない.そのため上半身と下半身に身体を分割して考えるとその間を結ぶ蝶番の機能を持つように見える.股関節制御は身体重心を移動させまいとする姿勢反応である.通常,体幹筋と大腿筋がこの制御に関係するが,大腰筋が本制御の核となっている可能性が高い.本筋筋力低下恵者に大腹筋をトレーニングすることによって身体バランスが改善する.大腰筋機能は[1]股関節制御能力,[2]股関節と腰椎の分離運動能力に集約されるのではないかと考える.