- 著者
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林 公彦
牛島 孝策
千々和 浩幸
姫野 周二
- 出版者
- 園藝學會
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.4, pp.346-353, 2004-07-15
- 被引用文献数
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高木性であるカキの作業性を改善し、低樹高栽培を可能にするための手段として、カキの平棚仕立て栽培を検討した。高さ3.5mで栽培している慣行の立木仕立ての'松本早生富有'を供試して、樹高を高さ1.5-1.6mの亜主枝まで一挙に切り下げ、樹形を改造して高さ1.8mの平棚仕立てへ移行して新梢の発育、収量性、果実品質について慣行の立木仕立てと比較した。平棚では樹形改造1年後の樹冠の拡大率が高かった。樹形改造当年はせん定後の結果母枝数を立木より約20%多く残す弱せん定を行うことで、樹冠占有面積当たり新梢数は平棚で多かったが、1結果母枝当たり新梢発生数および平均新梢長には平棚と立木で差がなかった。平棚では収量が立木よりも多く、樹冠占有面積1m2当たり着果数は10果以上、収量は3kg以上を毎年確保した。結果母枝1本当たり着花数は4年間で平棚が多く、生理落果率は3年間で平棚が立木より少なかった。果実重は平棚で立木より有意に大きかった。果実重が260gを越える2Lおよび3L階級が平棚では全果実の61.2%を占め、立木より明らかに大玉果実が多く分布した。果実肥大第I期後半の満開後40日から70日の間は平棚も立木も果実肥大に差は認められなかったが、第II期に入った満開後80日以降は平棚の果実肥大が良好で、第III期の収穫期に至るまで平棚の果実肥大が優れた。果実の着色は平棚で立木より早く開始し、収穫基準のカラーチャート色標値5には平棚が立木より約3日早く到達した。