著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25
被引用文献数
1

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日, 30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry hctor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm^<-1>の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。

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