- 著者
-
藤部 文昭
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.6, pp.403-412, 1993-06-30
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
3
北日本に記録的な強風をもたらした台風9119, 5415(洞爺丸台風)および6118(第2室戸台風)について, メソα〜β規模における強風の特徴を比べた.中心域の気圧・風速分布は台風ごとに違い, 台風9119は中心付近の広い低圧部=弱風域とその外側(南東側)の南西強風, 台風5415は鋭い気圧中心に集中した強風, 台風6118はメソ寒冷前線に対応するトラフとその後面(西側)の北西強風が特徴的であった.どの台風の場合も, 東北地方の南西〜北西強風は急に吹き出す傾向があった.このうち台風5415と6118においては, 強風の吹き出しはシャープなメソ寒冷前線の通過に対応し, 気温の急降下を伴った.これに対して台風9119の場合には, 中心後面からの寒気流入が緩やかで, 明瞭なメソ寒冷前線は現れず, 強風開始は一時的な昇温を伴った.この昇温は下層の安定層破壊によると推測される.