- 著者
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猪俣 伸道
- 出版者
- 日本育種学会
- 雑誌
- 育種學雜誌 (ISSN:05363683)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.4, pp.295-304, 1977-12-01
- 被引用文献数
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Brassica campestrisとBrassica oleraceaの種間交配と株問交配の子房の人工培養において,イースト抽出物とカゼイン酸分解物の効果について検討を行なった。用いた実験材料はそれぞれBrassica campestris L.ssp.pekinesis(Lour.) Olsson栽培品種野崎白菜とBrassica oleracea L.. var. capitata L.栽培品種野崎早生と野崎中生であった。各品種の株間交配と種間交配は除雄後2日目に開花した柱頭上に,当日開花した花粉をかけて行なった。交配後4日目の子房を植物体から切り取り,イースト抽出物とカゼイン酸分解物を添加した種々の培地組成を持つ寒天培地に油え込んだ。試験管に植え込んだ子房は,植え込み後36日目に取り出し,莢の長さを測定した。莢における着粒率と得られた種子の発芽率を求めた。野崎白菜の株間交配では,稔実種子の割合は基本培地,2g/lのイースト抽出物と300mg/lのカゼイン酸分解物を含む培地で良かった。野庵早生と野崎中生(キャベツ)の株間交配では,稔実種子はいずれの培地においても低かった。種間交配の野崎白菜×野崎早生(キャベツ)と野崎白菜×野崎中生(キャベツ)では,雑種種子が得られた。また調査時に未発育の種皮を破って露出Lた種雑胚が茨の中に見られた。子房培養における雑種育成の培養条件は基本培地に300cm/lのカゼイン酸分解物を添加した培地で良かった。また基本培地のみで培養した子房からも雑種胚が得られた。得られた胚の発育状態は"魚雷型"から成熟胚までであった。49個体の胚を更に培養したものから7個体,7粒得た種子から2個体がそれぞれ生育し,雑種を示した。根端における染色体数の調査ではいずれの個体も複半数体(2n=19)を示した。得た雑種の形態はいずれも両親の中間を示した。逆交配の野崎早生(キャベツ)×野崎白菜と野崎中生(キャベツ)×野崎白菜では,雑種種子と未発達の種皮を破って発育した胚はいずれの実験区からも得られなかった。ハクサイキャベツの交配では,今まで用いられてきた雑種育成の方法より高い頻度で雑種が得られたので,子房の人工培養による雑種育成は有効な方法と考えられる。