- 著者
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野口 泰生
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.3, pp.123-135, 1994-03-31
- 被引用文献数
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25
日本の気象官署の8割は国土面積の3%に過ぎない都市の人口集中地区(DID)に立地しており,気温の永年変化に与える都市化の影響が懸念される.冬の気温に低下傾向が見られる1950年から1988年までの期間について,官署所在都市の人口階級別に日最高・最低気温の平均変化率を求めると,日最高気温には都市化の影響はほとんど見られない.一方,日最低気温は人囗2万未満の官署で冬を中心に著しく低下するのに対し,人口規模が大きくなるにつれて気温変化率は上向き,地方気象台所在都市や100万都市では著しい昇温を示す.主成分分析により日本を地域区分し,地域毎に,都市化の影響の無い官署群平均日最高・最低気温からの差として各官署の永年変化を表現すると,この差の時系列回帰直線の傾きは都市化による昇温率を示すものと思われる.日最低気温についてはこの昇温率と都市規模(人口)との間に強い相関が見られる.