著者
野口 泰生
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.747-757, 2001-10-31
参考文献数
31
被引用文献数
5

親潮の異常南下が注目される東北地方太平洋岸で海面水温変動の特徴を緯度経度1度のグリッド水温(1950〜)で検討した結果, 常磐沖を含む中緯度帯に一年を通して水温が長年低下傾向にある海域が広範囲に確認され, 夏の常磐沖水温変動には明瞭な6年周期が見られた.東北地方太平洋岸の気温も1950年頃から1980年代後半まで一年を通して低温化傾向にあったが, 夏の低温化は東北地方太平洋岸の局地的現象で, この中にやはり6年の周期性が認められた.また, 沿岸から内陸に向かって気温に海の影響が認められた.常磐沖の長期的な水温低下は, 宮城県江ノ島の長期海面水温データや北太平洋指数(Trenberth, 1990), 冬の北太平洋SST指数(Deser and Blackmon, 1995)から判断して, 高緯度大気変動に伴う長期変動の一部である可能性が高く, 同海域では40〜50年の長周期的変動と6年の短周期的変動がオーバーラップしていると推測された.
著者
野口 泰生
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.123-135, 1994-03-31
被引用文献数
25

日本の気象官署の8割は国土面積の3%に過ぎない都市の人口集中地区(DID)に立地しており,気温の永年変化に与える都市化の影響が懸念される.冬の気温に低下傾向が見られる1950年から1988年までの期間について,官署所在都市の人口階級別に日最高・最低気温の平均変化率を求めると,日最高気温には都市化の影響はほとんど見られない.一方,日最低気温は人囗2万未満の官署で冬を中心に著しく低下するのに対し,人口規模が大きくなるにつれて気温変化率は上向き,地方気象台所在都市や100万都市では著しい昇温を示す.主成分分析により日本を地域区分し,地域毎に,都市化の影響の無い官署群平均日最高・最低気温からの差として各官署の永年変化を表現すると,この差の時系列回帰直線の傾きは都市化による昇温率を示すものと思われる.日最低気温についてはこの昇温率と都市規模(人口)との間に強い相関が見られる.
著者
野口 泰生 萩原 つね子 赤星 直輝 武 理一郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.255-256, 1992-09-28

Batcherにより開発されたバイトニックソートは最も高速な並列ソート法の一つである。バイトニックソートは本来はソートネットワークのためのアルゴリズムである。しかし実際には一般の並列計算機を用いて複数の比較器を少数のPEにマッピングし、比較器間の結合をPE間の通信でシュミレートすることで実現されている。特に超立方体結合の並列計算機では比較器間の結合を効率よくシュミレートできるのでバイトニックソートはよく用いられる。バイトニックソートを超立方体結合の並列計算機に移植する場合、従来のマッピングでは1つのPEに1つのソートエレメントを置く(1PE-1エレメントマッピング)。このマッピングではPE間通信を超立方体結合上で閉塞なしに処理できる。またどの通信も超立方体結合上の隣接間のみに限定できる。しかし1つの比較を2つのPEで重複して行なう無駄が生じる。これに対して筆者等は1つのPEに2つのソートエレメントを置く新マッピングを考案した(1PE-1比較マッピング)。新マッピングでは比較の重複がない。また1PE-1エレメントマッピングと同様にPE間通信を超立方体結合上で閉塞なしに処理し、どの通信も超立方体結合上の隣接間のみに限定できる。本報告では、バイトニックソート、1PE-1エレメントマッピングについて簡単にレビューした後、1PE-1比較マッピングを紹介し、その性能評価を行なう。