- 著者
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藤部 文昭
田畑 明
赤枝 健治
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.9, pp.617-626, 1995-09-30
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
-
3
台風8922が房総半島を北東進した際の下層風の特徴を,その北側を進んだメソスケールの寒冷前線に注目しながら解析した.このメソ前線は当初は薄い寒気を伴うものであったが,台風が近づくとともに寒気の厚さが増して強いシアを伴い,その後面にはごく低い高度に30ms^<-1>の風速極大が存在した.この前線付近では台風本来の渦状の気流は著しく変形され,弱風から強風への不連続的移行や,台風経路の左側における時計方向の風向回転など,台風通過時としては異例の変化が認められた.また,前線の後方には大きな上昇流が存在し,幅30〜40kmの強雨帯が現れた.