- 著者
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藤部 文昭
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.10, pp.671-680, 1996-10-31
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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台風移動時の風速分布を与える各種の計算式を比較検討し, 以下の点を指摘した. (1)力学的な観点から見れば, 台風と一緒に動く座標上の傾度風を求める方法が最も合理的であると考えられる. (2)その解は, 台風静止時の傾度風に(KC+G)/(K+1)の補正をすることによって近似できる. ここでCは移動速度, Gは一般風である. Kは遠心力とコリオリ力の比であり, 台風中心からの距離の関数である. (3)一方, 流跡線上の傾度風バランスや, 変圧風に基づく方法は, 発想は興味深いものの計算結果の妥当性には疑問がある. なお台風の中心付近ではK≫1であるため, 風の非対称性は一般風ではなく台風の移動によって生ずる.