- 著者
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榊原 保志
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.9, pp.567-575, 1999-09-30
- 被引用文献数
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郊外に水田域と果樹園域がある長野県小布施町において,都市ヒートアイランドの特徴を調べるため自動車による気温の移動観測を1996年9月から翌年10月にかけて153回行った.その結果,夜間については,1月・2月の積雪期には水田域が最低温域になったのに対し,5月〜7月と10月〜12月では果樹園域であった.このことから都市そのものが気候に与える要因以外に,都市を取り巻く郊外の土地被覆の違いによりヒートアイランド強度は年変化することが分かった.また,冬季に見られる積雪や夏季における水田域の灌水といった土地被覆の季節変化がヒートアイランド強度の年変化に与える影響は認められなかった.さらに夏季日中のヒートアイランド強度における月平均値及び月最大値は夜間の場合と同程度であることが示された.また,5.4℃を示したヒートアイランド強度の最大値は,Fukuoka (1983)やPark (1987)が示した日本の同規模の都市より遙かに大きく,Oke (1973)により指摘された北米の都市で見られる値にほぼ等しい.