著者
榊原 保志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.515-523, 1994-09-30
参考文献数
17
被引用文献数
20

郊外に水田域が広がる都市のケーススタディとして,埼玉県越谷市において自動車の移動観測により気温分布が延べ11日にわたり43回調べられた.その結果,次のことが明らかになった.ヒートアイランド強度は水田に水が張られている夏季では日中に,それ以外の季節には夜間に大きくなる.特に夏季の昼間に4℃程度のヒートアイランド強度が観測され,これまで軽視されがちであった「昼間のヒートアイランド」の重要性を示した.夜間の中では,日の出時刻前後より真夜中にヒートアイランドは強く出現した.また,都市と郊外の年間を通した気温差の最大値は冬季に出現し,その大きさは5.5℃であった.この値は福岡(1983)らの研究成果における日本の人口30万規模の都市のヒートアイランド強度の約2倍になり,西欧型の都市に相当する.
著者
榊原 保志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.567-575, 1999-09-30
被引用文献数
13

郊外に水田域と果樹園域がある長野県小布施町において,都市ヒートアイランドの特徴を調べるため自動車による気温の移動観測を1996年9月から翌年10月にかけて153回行った.その結果,夜間については,1月・2月の積雪期には水田域が最低温域になったのに対し,5月〜7月と10月〜12月では果樹園域であった.このことから都市そのものが気候に与える要因以外に,都市を取り巻く郊外の土地被覆の違いによりヒートアイランド強度は年変化することが分かった.また,冬季に見られる積雪や夏季における水田域の灌水といった土地被覆の季節変化がヒートアイランド強度の年変化に与える影響は認められなかった.さらに夏季日中のヒートアイランド強度における月平均値及び月最大値は夜間の場合と同程度であることが示された.また,5.4℃を示したヒートアイランド強度の最大値は,Fukuoka (1983)やPark (1987)が示した日本の同規模の都市より遙かに大きく,Oke (1973)により指摘された北米の都市で見られる値にほぼ等しい.
著者
榊原 保志 小高 正寛
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.35-44, 2007-11-30

本論はペットボトル簡易気圧計を用いた気象観測実習の新しい方法を提案した.階段を上り下りすることにより,ペットボトルに剌したストロー内の水面の変化から気圧の変化を読み取る実習である。気圧が減少/増大するとストロー内の水面は上昇/下降する。校舎の各階で気圧を観測した結果,各々の階と1階の気圧差には比例の関係があり,4階と1階には1 hPa以上の気圧差が認められた。階を上り下りする際に生じる気圧の変化量でも,水面の変化は十分読み取ることができた。気温の変化がなく,1 hPaの気圧の変化があったときの水面の変化について理論的に考察を行ったところ,ストローの半径が小さいほど,ペットボトルに入っている空気の体積が大きいほど,ペットボトルに入れる液体の密度が小さいほど水面の変位は大きくなることが分かった。エレベーターによって1階と4階を移動する実験でもおおむね同様な結果が得られた。この簡易気圧計を用いた授業を琉球大学教育学部附属中学校において実施した結果,多くの生徒が水面の変化を確認できたこと,この教具は役立ち実習が楽しいと感じたこと,そしてこの実習は天気の学習に意欲を高めることなどが分かった。
著者
中川 清隆 榊原 保志 下山 紀夫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.43, 2007

<BR> 筆者らは、第2筆者を代表者とする任意団体「気象情報を教育に利用する会」を結成して、「気象情報画像取り込み・表示ソフト」の普及に努めてきた。旧版ソフトを公開して4年が経過し、(1)静止気象衛星の交代(GMS5→GOES9→MTSAT1)、(2)気象庁の画像圧縮形式変更(jpeg形式→png形式)、(3)気象庁および広域定点観測実証コンソーシアムのURL変更等が相次いだため、デザインやコンセプトは旧版を踏襲するものの、コーディングそのものは全く新たにやり直して、大幅な改訂を行ない、改定版を作成したので、その概要を報告する。<BR> 2005年6月のMTSAT正式運用後、日本気象協会の画像の領域が気象庁実況天気図領域をはるかにしのぐ領域に拡大されたのを利用して、画像ビュアーサブソフト(第1図)の実況天気図全域と衛星画像の重ね合わせを可能にするとともに、画像観察ウィンドウを3画面に増設した。これにより、旧版では基本画面と観察画面との比較しかできなかったのに対して、改訂版では3種類の衛星画像同士とか3箇所のライブカメラ画像同士等、様々な画像を比較することが可能となった。<BR> 発表当日、「気象情報を教育に利用する会」入会手続者にソフト入りCDを先着順に実費配布する。また、既存会員にはメール添付ファイルにより改訂版ソフトを送付する体制を整備する予定である。
著者
下田 好行 小松 幸廣 岩田 修一 四方 義啓 吉田 俊久 榊原 保志 岩田 修一 四方 義啓 榊原 保志 山崎 良雄 長谷川 榮 吉田 武男 黒澤 浩 永房 典之 赤池 幹 青木 照明 岸 正博 中村 幸一 岡島 伸行 熊木 徹
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

知識基盤社会を生きるために知識情報を熟考・評価し、表現・コミュニケーションしていく「キー・コンピテンシー」を育成する学習指導法の枠組みを開発した。また、この枠組みにそって授業実践を小学校と中学校で行った。その結果、この学習指導法の枠組みの有効性を確認することができた。
著者
榊原 保志 森田 昭範
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.901-911, 2002-11-30
参考文献数
13
被引用文献数
5

長野県白馬村において,ヒートアイランドの時間的な変化を検討するために,自動車による全73地点の移動観測を83回行った.ヒートアイランド強度は全測定地点のうち市街地気温の上位3地点の観測値の平均と郊外気温の下位3つの平均の差として求めた.さらに約1年間にわたり郊外の水田域中央部に臨時に設置した定点観測を実施し,市街地にある白馬アメダスの観測値との差をとることにより,都市と郊外の気温差を求めた.その結果,次のことが明らかになった.積雪期のヒートアイランド強度は他の時期よりも大きく,その変動も大きい.都市と郊外の気温差が大きくなる月は夜間(20時)においては1月,3月,4月と9月であり,日中では7月・8月が大きい.積雪期の気温差の日変化パターンはその他の期間と類似し,日の出後急激に小さくなり2〜3時間後には上昇に転じ,その後日の入り前後まで急激な増加は続く.灌水期の特徴は14時から15時において極大になる時間帯がある.気温差が最大になる時刻は日の出前ではなく,19時から22時が多い.
著者
榊原 保志 原 芳生 加藤 俊洋
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.537-543, 1996-08-31
被引用文献数
8

郊外に水田が広がる埼玉県越谷市南東部において, 都市域と郊外を代表とする2つの地点に臨時観測点を設置し, 約1年間にわたり気温観測を行った. ヒートアイランドは夜間には一年中認められ, 中でも7月・8月と11月・12月の2つの時期に明瞭に出現した. そして7月・8月の正午にはすでに1℃以上のヒートアイランドが生じた. 1日の変化では日没後数時間に最大になり, その後徐々に小さくなり, 7時から11時の時間帯で最小になった. また, 風速が大きくなるほどヒートアイランド強度が小さくなる傾向は, 冬季に見られるものの夏季には認められなかった. さらに臨時定点観測に並行して移動観測を実施し, 双方の信頼性を検証した. その結果, 臨時定点における観測値は移動観測により得られる都市域と郊外の代表的数地点の平均値と比べ, どちらも約0.3℃の差異が見られた. 臨時定点観測と移動観測から得られるヒートアイランド強度には大まかな対応が見られることが分かった.
著者
境田 清隆 榊原 保志 高橋 日出男 榊原 保志 高橋 日出男
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

仙台市においては海風、長野市においては山風という局地循環がヒートアイランドを緩和している実態を観測結果から捉えようとした。仙台では春季から夏季にかけての海風吹走日に、3~5℃の気温低下が観測されるが、その効果は都心でも低減しなかった。長野においては、北西方向の裾花川から吹き出す山風が都心を冷却している実態が明らかになった。また東京都心では海風を含む南風吹走時に新宿などの風下に強雨が発現することが明らかになった。
著者
榊原 保志
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,都市表面形状が夜間ヒートアイランドに与える影響について検討したものである.まず,都市モデルと郊外モデルを用いたスケールモデル実験とヒートアイランドの調査資料を基に,長波放射収支量の都市内外の違いに関与する天空率が夜間ヒートアイランドとの関係を検討した.スケールモデル実験の結果,都市の天空率が大きいとこの効果は小さく,都市内外の気温差にあまり影響を与えないことが分かった.つぎに,都市表面パラメータによって高層住宅地と低層住宅地を比べると,天空率,緑被率,建蔽率では両住宅地の違いは小さいが,高層住宅地の容積率やラフネスパラメータは低層住宅地よりはるかに大きくなった.そこで,当地域に共存する高層住宅地と低層住宅地の夜間のヒートアイランド強度ΔTu-rと風速の関係を検討したところ,どちらの住宅地でも風速が大きくなるにつれてΔTu-rは少しずつ小さくなるのに対し,その上限値は単純に小さくなるのではなく,ある風速を頂点とする山型になった.さらにこの最大値が生じる風速は高層住宅地では風速1.4m/sであるのに対し,低層住宅地では0.8m/sと小さかった.これらのことから,都市表面の大きなラフネスによる機械的混合が夜間ヒートアイランド形成原因に有力であることが示唆された.小都市における建蔽率,容積率,天空率,ラフネスパラメータ等の地表面パラメータの分布について調べた.その結果によると,いずれの地表面パラメータも都市が高く都市を中心とする同心円状の等値線が得られた.そして地表面パラメータはいずれも0.8程度の気温偏差との相関が見られた.