- 著者
-
安藤 敏夫
- 出版者
- 園芸学会
- 雑誌
- 園芸学研究 (ISSN:13472658)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.3, pp.213-218, 2002-09-15
- 参考文献数
- 40
ペチュニア属遺伝資源の評価に関連する筆者らの研究経過を取りまとめた.広義のペチュニア属には, 互いに交雑できない3群が存在し, その3群は種子表面形態・核DNA量などで識別できた.ウルグアイには花器構造の異なるP.axillarisの2亜種がすみわけており, 中間型の分布する地域を特定し, 園芸的に重要な形質をもつ群落を抽出した.野生種の花に新規物質11を含む, 30種類のアントシアニンを確認し, 遺伝資源としての可能性が議論された.ペチュニア属とカリブラコア属の全種に関して自家(不)和合性が調査され, 自家和合種が降水量の少ない地域に分布する実体を示した.基本的に自家不和合であるP.axillarisの亜種axillarisには自家和合個体を希に交える群落があり, 自家不和合性の崩壊現象を研究する素材として使われた.このほか園芸学と植物学の学際領域としての園芸遺伝資源学の研究領域を紹介した.