著者
渡辺 智山
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-37, 1997-03
被引用文献数
1

本稿はCarol C. Kuhlthauによる研究のレビューである。彼女は, およそ10年間, 図書館利用者の情報探索過程を追跡調査し,「知(思考)」「情(感情)」「動(行動)」の三要素から成る情報探索過程モデル (Information Search Process Model : 以下は「ISPモデル」と表記する) を構築した。このモデルは, 利用者研究にとって新たな観点を生み出したという点で評価されるべきモデルであるが, 問題解決過程という領域の狭さ,「情(感情)」の捉え方, モデルを構築するにあたってとられた調査方法など, 多くの間題点を指摘することができる。結果として以下の点が明らかになった。それは「ISPモデル」を一般化していくためには, 異なる観点によって再構築され, 図書館という枠組みに囚われることなく他の領域で検証されなければならないこと, である。この間題を克服した時, 新たに「情報」探索過程のモデルが生まれることになる。

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