著者
吉田 右子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.121-137, 2002-09-30

第二次世界大戦ではあらゆるメディアが戦力として使われ,公共図書館もまた戦時情報の伝達機関として重要な役割を果たした。本稿ではアメリカ図書館協会(ALA)と戦時情報局(OWI)による戦時情報サービスを分析することによって,アメリカのメディア政策における公共図書館の位置づけを解明した。両者の協同関係に基づく情報提供サービスを検討した結果,第二次世界大戦期に公共図書館は,市民に対し必要な情報を適切に媒介する戦時情報センターとしてメディア戦略の一端に位置づけられていたことが明らかになった。また公共図書館の戦時情報サービスは印刷資料に限らず,映像資料を含む多種のメディアを通じて行われていたことを,ALAとOWIの連携活動を検討するなかから示した。そしてデモクラシー社会を支える見識ある市民にとって,円滑な情報流通が極めて重要であるとの認識が両者の情報提供サービスの理念的基盤にあったことを結論とした。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト