著者
加藤 雪枝
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.210-219, 2005-09-01
被引用文献数
1

日常生活において色は単色で存在することは少なく、形状や面積の異なる複数の色が同時に私たちの目を刺激する。この研究は2色配色に注目し、配色が人間に与える心理的、生理的影響を調べた。2色配色関係に基づいて、系統的に色の組み合わせを行い、脳波・心電計測による生理的結果と、SD法による心理的結果からその関連性について検討した。2色配色のイメージは「くつろぎ・評価性」・「活動性の因子」の2因子で構成される。2色配色が基本色に対して色相関係、明度, 彩度関係が共に類似関係にある場合、α波を喚起し、色相関係が同一であり、かつ明度, 彩度関係が対比の場合、α波が抑制される。基本色緑みの青(5B4/8)や緑(5G5/10)との配色においてα波含有率が高く、基本色赤(5R5/14)との配色では低くなる。基本色緑を含むすべての配色は1/fゆらぎが認められ快適である。心電解析結果のHF成分及びLF/HF成分の値において、色相が対比関係あるいは明度, 彩度が対比関係にある場合、精神的負荷が小となる傾向を示す。「活動性」が中庸である場合、その配色は生理的精神負荷が少ない。

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